ホーム側バック側という概念
競輪界のタブーに迫る、第1回の放送が始まりました!
記念すべき初回のゲストは、田村風起くんです!
\キャ〜(黄色い歓声)/
\ウォーー(野太い声)/
いや〜どうもどうも!
競輪界内部ネタプレゼンターの田村です! よろしくお願いします!
心の中の担当編集「…あのねぇ、文章の脈略を考えずに勢いで冒頭の悪ノリ書き始める癖やめた方がいいよ」
ぼく「アッハイ…すみません…」
心の中の担当編集「第1回って言ってるけど、絶対第2回の放送ないよね」
ぼく「…」
心の中の担当編集「起承転結に囚われるなら、ちゃんと転と結までやり切ってしっかり書いてね。いつも記事の後半が破綻してるよ」
ぼく「面目ございません…」
心の中のぼく「なんでいきなり(セルフ)説教されてんだよ…本体も何とか言えよ…」
心の中のぼく「もうだめだ。俺正直本体のこといけ好かないんだわ、あいつが主導権握ってるの気に食わねぇ。今後は別でやらせてもらうから」
ぼく「えっ? 心が乖離してゆく…ッ!」
こうして心の中のぼくは本体と仲違いし、新たな仲間と活躍しましたとさ。
さて皆さん、あまりにも強引でクソみたいな茶番からスタートする、当ブログの冒頭には飽き飽きしていることでしょう。
今回は皆さんお待ちかねの、競輪選手の内部ネタです。
って言っても、いつもの如く別に暴露話! とか内部事情を赤裸々に告白! とかそんなレベルの話ではないです。
どちらかと言うと、以前書いた「競輪選手のしきたり」の記事のような、業界カルチャー的なお話ですので、過激ネタを期待して開いた方はすみません(笑)。
読んでない方がいたら、以前の記事も是非読んでね!
競輪選手のしきたり
タイトルの「ホーム」と「バック」という単語、皆さんご存知ですか?
まあ当ブログ読者の方で、ご存知ない方のほうが珍しいかと思いますが…(笑)。
もちろん、競輪場走路のホームストレッチとバックストレッチのことです。
直線のこっち側と、向こう側。
実はこのワード、競輪選手的には結構深い意味があったりなかったりするんですよ…(どっちやねん)。
唐突ですが、皆さんの職場には派閥ってありますか?
うちの職場にはあります。
競輪選手って、豪快で、男気が溢れてて、地区の友情や絆を重んじる義理人情に溢れた世界…! みたいに見えますよね。
断言します。幻想です。それ。
うちの業界って、割と女々しく、繊細で、かつナルシズムに溢れた業界です。
他人にどう見られているか、を気にして必死な人ばっかりだったりします。
もちろん、中には義理人情に溢れた人もいますよ(笑)。
でも、多数派ではないのが正直なところ。
男気溢れるレースをする選手も、プライベートまで「漢」なのかと言われるとちょっと微妙。
まーー世の中もそんなもんですよね。
真面目そうな野球部ほど裏でヤンチャしてたり、優しそうな女の子ほどすげえ腹黒かったり…。
偏見が過ぎますかね?(笑)
競輪界は社会の縮図とよく言いますが、世間の構造とうちの業界の構造はホント似たようなもんです。
てか、プロスポーツ業界ってどこもそうですよ。
少なからず表舞台で戦っているので、華やかに見える部分が大きく勘違いしがちですが、僕らもいち労働者ですから。
疲れたら心も病むし、人恋しくなることも多いのです。
そうやって、寂しくなった人が「俺の空間」を守るべく他人を囲い、でき上がってしまうのが「派閥」です。
※競輪界には「練習グループ」があるのですが、それと派閥は少し別の問題です。周りの選手とグループ練習している光景をSNSにUPしている選手がいても、「こいつはこの派閥なのか…」とは思わないでくださいね(笑)。
我が強い人が多い競輪界。
実は同支部内で派閥が生まれることって、お客様が想像している以上に頻繁にあります。
基本的には、支部の選挙を人気投票と勘違いしているタイプの人たちが
「アイツが権力を持っているのが気に食わん」
とか言い始めるところから始まりがちです。
競輪界にも選挙がある
あいつは気に食わん! だとか、いけ好かない! だとか、個人的な諍い事から始まり、周りが巻き込まれるパターンがなにしろ多いです。
その揉めている当事者に弟子が多かったりすると、「お前もアイツ鬱陶しいよな?」と、下の者がNOと言えない空気になりその一門が丸ごと派閥化していくのです。
与党政権に必ず野党政権があるようなもんで、誰かが主導権を取るとどうしても反対意見の人間は出てきます。
ある意味世の中の理ではありますが。
今はアスリート化が進んだり、競輪選手の数が減ったりしたせいで昔ほど派閥意識は激しくはないのですが、もちろん現代でも普通に起こりえることです(笑)。
同支部内で派閥ができると、どうなると思いますか?
当然ですが、当事者同士は顔を合わせたくないですよね。
だって仲悪いから分裂するんだもん。
しかし、競輪選手の練習場所って限られてますよねぇ。
大概は競輪場で練習したいし、練習時間も午前午後の二部くらいのものです。
派閥同士が完全に顔を合わせないことって、ほとんど不可能なんですよね。
記事の脈略的に、察しの良い方はお気付きでしょうか?
そう、こうして生まれたのが「ホーム側」と「バック側」の概念です。
大昔、ある県のふたつの派閥が競輪場練習でバッティングしてしまった時、
「同じところで休憩するのは嫌だから」
とバンクの反対側、つまりバックストレッチの方に集まり、別々で休憩を取るスタイルになったのです。
その後、その派閥ごとの休憩場所が定着していき、ホーム側派閥、バック側派閥という単語がスラング化した訳ですね(笑)。
今でも、他県の大御所選手同士の仲が悪いという噂を耳にすると
「ホームバックしてるんですかね?(笑)」
「いや、弟子を巻き込んだりはしてないみたいやで」
みたいな文脈で、競輪選手トークに普通に出てくる単語です。
派生スラングで「午前午後」なんてものもあるのですが、長くなるのでお客様のご想像にお任せします(笑)。
上でも書いたのですが、休憩場所を別にするほど派閥が激しかった時代は流石に前時代の話です。
実際、現代ではホームバックに別れるほど派閥表明が露骨なところってほとんどないと思いますよ。
練習方法の多様化や、複数の弟子や一門を抱える大御所師匠=大規模な派閥を作れる人が減っている事も相まって、個人レベルのいがみ合いに収まっているところが多いです。
個人レベルで仲が悪い、嫌いな人相手でもいざ顔合わせたら普通にしてるとか。で、同意見の人がいたら陰口程度で済ませる…という感じですね。
それはそれで女々しいですけど(笑)。
ただ、100期台の先輩が「お前はどっち派やねん」と詰められた、という体験談を聞いたことがあるので、結構最近でも普通にあったお話みたいです。
どこの県でこういう話があるよ〜という深い話は流石にこういう場では書けないので、そこはご想像にお任せします(笑)。
当記事更新後の8月〜9月に何件かトークイベントのお話を頂いてるので、リアルで俺に会う機会がある人は直接聞いてみてね!(詳細はTwitterにて)
これは奈良競輪場のホーム側。
これは奈良競輪場のバック側。
(この日焼けで色褪せてボロボロだった敢闘門の幕、先日新調されました。奈良開催がある際は是非綺麗になった敢闘門にも注目してみてね!)
奈良競輪場は競輪場サイズが小さく、ホームバックに別れて休憩しても敵の顔が見えちゃいます。
ホームバックは発生しない! 安心ですね(笑)。
実際んとこ、競輪選手もただの人間。
カッコイイ人間もいるし、ややこしい人間もいるんです。
いつも言ってるんですが、ホント社会の縮図ですよ。
まぁ選手の人間関係なんてあまりお客様には関係のない話なのですし、同県や同地区で競り=仲が悪い…ってのもちょっと話が違ってきます。
変に人間関係を深読みしていただいても、実際に走る時は「仕事」ですから。
プロとして自分の仕事を遂行する人が大多数だと思いますよ。
こんな記事を書いといて何ですが、予想に繋がらない可能性が大きいので興味レベル程度に思っておいてください(笑)。
冒頭で書いたように、タブーに迫る! と言うほど大した話ではないですが、業界文化や裏話的な話が思いついたらまた記事にしたいと思います。
僕は基本的にはひとりでのんびり練習しているので、そういう争いには巻き込まれず現役を終えられるといいなぁ…。
では、また次回!
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1995年3月30日生まれ。滋賀県出身。 日本競輪選手会 奈良支部所属107期の競輪選手。現在はA級2班。同期には新山響平、山岸佳太、簗田一輝など。 ……以上はすべて仮初めの姿であり、本業は某アイドルのプロデューサーであるともっぱらの噂。 ドール、カメラ、声優など、さまざまな「沼」に足を踏み入れている。