ドーピングについて詳しく知ってる?
本記事のタイトル、ぼくのスタイル的に勘違いされると困るので先に言っておくのですが、
「競輪界のドーピング問題に切り込む!」
とかそういうのではないです…。
まぁ内容的にその辺の問題の現状も軽くは触れますけど、過激なのを期待してる人はブラウザバック! でお願いします(笑)。
今回は、競輪選手というよりスポーツ選手全般に付きまとってくる「ドーピング=お薬」のいろいろについて書いてみます。
というのも、スポーツをやったことがない方々には「ドーピング=筋肉増強! →ズル!」という、ド直球な発想しか浮かばない人も少なくないと思うんですよ。
しかし実際のところは、意外と身近に落とし穴が潜んでいるドーピング…。
強くなろうとする意図がなくとも、ちょっとした気の緩みで引っかかってしまう可能性があるドーピング検査。
今回はそんな、真面目にスポーツ選手をやっている(?)かもしれない僕も振り回されている、ドーピングやらお薬の話を書いてみます。
では、まずはコチラをご覧下さい。
何らかのスポーツ団体に所属している選手は、大概こんな冊子を毎年貰います。
これはJKAの内部資料…! ではなく、WADA(世界アンチ・ドーピング機構)という団体が「絶対にドーピング検査に引っかからない薬」を発表して、機構の日本の関連団体が毎年更新して発行している「使用可能薬リスト」です。
一見すると、一般の方はあまり目にすることがなさそうな業界資料っぽい冊子ですが、意外とそこらの薬局やドラッグストアにも置いてあるんですよ。
ここに載っているのは、使ってはいけない薬ではありません。
「使っていい薬」です。
中身はこんな感じ。
ここにリストアップされているのが「使っていい薬」です。
ちょっと文字が細かくて見にくいかと思いますが、様々な病気に対応する市販薬と処方薬の名前が書かれていますよ。
もちろん、ここに載っている薬品以外を使うと即アウト! という訳では決してありません。
しかし、ここに載っていない薬を使ったら「検査で引っかかっても知らねーぞ」というスタンスなので、実質的には
スポーツ選手をやっている以上、ここに載っている薬以外は使用しないように!
ということです。
ドラッグストアとかにたくさん置いてある、大量の銘柄のお薬からこの冊子の薬しか選べないのか〜と思うと、選択肢が結構厳選されちゃう気はしますよね!
まぁもともと病気は薬飲めば治るっていう単純なものじゃないですけど。
これは、競輪選手だけではなく、プロアマ問わず競技に参加する全てのアスリートが対象です。
いわゆる草レースや草野球等ではドーピング検査が行われる訳がないので、実質的には関係ないんですが…。そこはモラルの問題ですね(笑)。
で、お客様が気になる競輪界のドーピング事情のお話ですけど...。
たまーーーに謎の斡旋停止を食らっている人いますよね。
あれ、正直なところドーピング検査に引っかかった人ってのが多少なりとも混ざってます(もちろん謎の斡旋停止者がすべてドーピングによるものではないですよ、一応)。
でも、実際んところ筋肉増強剤(蛋白同化ステロイドとか、ヒト成長ホルモンとか)で引っかかってる話はほぼ聞いたことがありません。
引っかかってしまった人は、いわゆる「うっかりドーピング」によるものです。
海外のサプリや、病気になった時に治療目的で飲んだ薬に、検査に引っかかる物質が入っていた! というものです。
これ、強くなろうとして飲んだものではないと思うので、本質的に罪ではないんです。
しかし、スポーツ選手をやっている以上は日常からそういうところにも気を遣わないとダメ! ペナルティ! って訳ですね。
普通に病院に行ってお医者さんに薬を処方されて飲んだ。
→次の開催でドーピング検査があった。
→その薬が原因で引っかかる。
なんてパターンも普通にあり得ます。
僕もうっかりドーピングが他人事ではないな〜と思った話があるのですが、奈良に引っ越してすぐ、体調不良になり、近所のクリニックで自分がスポーツ選手であることを特に伝えずに体調不良を相談したところ、漢方薬を処方されたんですよ。
なんか、そのお医者さんが漢方薬治療をオススメしてる方だったみたいでして。
まぁそれはどうでもいいんですけど(笑)。
実は、漢方薬に使われがちな「麻黄」という生薬にはエフェドリンという禁止物質が入っており、これ普通に検査引っかかる物質なんです。
このエフェドリン、咳止め系の市販薬には普通に入っているポピュラーな物質なんですよ。
なので、市販風邪薬なんかは結構怖いんです。
♪あなた〜の風邪に狙いを決~めてのCMでお馴染みのベンザブロック、あれエフェドリン入ってます。従ってドーピング検査的にはアウトになるのです。
漢方薬や市販の風邪薬を飲んだだけでドーピング検査に引っかかる可能性があるって事実、皆さんご存知でしたか?
従って我々は、新しい病院に行く時には、
「スポーツ選手なんですよ」
と伝え、新しい薬が処方される時には毎回
「この薬ドーピング検査大丈夫っすかね」
と確認し、薬を貰ってからも先程貼った使用可能薬リストと照らし合わせて確認しないといけないのです。
面倒臭い…でも、それは公正にスポーツをするために必要なことなんですよね…しゃーない。
世界選手権なんてものは年に一度、オリンピックに関しては数年に一度なので、いわゆるアマチュア競技の大会参加者はドーピング対策をめちゃくちゃ気にします。
その大会に向けて年単位で必死に練習したのに、しょーもない違反で水の泡にしたくはないですもんね。
でも、我々プロスポーツ選手にとって、競技参加はお仕事であり日常。
正直、服用する薬選びなんてところは日常パートのごく小さい部分なので、当事者的には気が緩んでしまう気持ちもわからなくはないのです…。
直近で言うと、去年か一昨年かそのあたりに、喘息の薬(器官を拡張するやつ)についてのレギュレーションが変更になりました。
で、もとも喘息を持っていて、昔から薬を服用していた選手が「今まで通り使っていた」だけで検査に引っかかり、斡旋停止になった…という事もあります。
ドーピングに関するルールは毎年細々とした変更があったりするので、日頃から薬を飲んでいる人は結構気を付けないといけないのです。
また、血の抜き戻しや、点滴なんかの血管に直接ぶち込む系も細かい決まりがあります。
この辺は基本的に意図せずに施術を受けることはないので、悪意を持って受けなければ心配はないのですが…。
以下アンチドーピング機構の禁止行為欄より抜粋。
静脈内注入および/又は静脈注射で、12時間あたり計100 mLを超える場合は禁止される。
但し、入院設備を有する医療機関での治療およびその受診過程、外科手術、又は臨床検査のそれぞれの過程において正当に受ける場合は除く。
だそうです。
文字だとちょっとわかりにくいんですけど、普通に風邪や病気の治療として、診療所で点滴打たれる分には大丈夫ですよ、というお話。
クリニック=診療所にも入院設備はありますからね。
まぁ、正直マトモな病院以外で点滴を打つことなんて機会って基本ないんですけど(笑)。
例えばですが、意識高い界隈でちょいちょい流行っている、美容系の血液クレンジングや水素点滴、ニンニク注射なんてものを、整骨院や鍼灸院などの病床を持たない施設に受けに行くとアウト! という訳ですね。
禁止行為に関しては、所詮は行為なのでドーピング検査等でバレることはまずないです。
しかし、禁止と知らず自ら「ニンニク注射打ってきました〜!」的なことをネットで発信してしまい、JKAに拾われてアウト…ってパターンはありえるってことです。
こんな感じで、お薬関連のお話はいろいろと気を遣うことが多いんですよぉ〜!
悪意なくうっかりドーピングで検査に引っかかった人と、悪意を持って筋肉増強で引っかかった人がいたとしても、斡旋停止3ヶ月で同じ制裁というのは難儀な感じがありますよね…。
システム上は区別ができないのは仕方のないことなのですが。
いや、まずそれ以前に、誘導員早期追い抜きが斡旋停止実効4ヶ月だろ…ドーピングより罪が重いって…意味不明では? おっと、この話は泥沼まっしぐらなのでやめとこか…!
これはコンペイトウという魚です。
魚って撮るの難しいんですけどね、割と上手に撮れました。
こんな感じで、何も気にせず呑気にフワフワ生きていきたいものですねぇ。
スイマセン、すごい勢いで話を逸らしました(笑)。
とりあえず、ぼくは公正安全にお仕事に励む所存ですので、急に強くなっても練習頑張っただけ! 疑わないでね!(笑)
正直、ドーピングや八百長など、陰謀論的な話がお客様の間で飛び交うのは仕方のないことだと思います。
勝ち負けがあるギャンブル界隈では特に、エンタメ性として抜群ですからね(笑)。
でも、実際のところ僕たちは結構日頃から気を遣って生きてるんだよ〜という側面も知っていただければ幸いですよ。
少なくとも僕は、競輪はバンクの格闘技! 論者で、クリーンな走りができている選手とは言えないので、日常生活くらいはクリーンでありたい…! と思ってます。
以上、お薬に関してはいろいろと気を遣うことが多いんだよ〜! というお話でした!
ではまた次回!
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1995年3月30日生まれ。滋賀県出身。 日本競輪選手会 奈良支部所属107期の競輪選手。現在はA級2班。同期には新山響平、山岸佳太、簗田一輝など。 ……以上はすべて仮初めの姿であり、本業は某アイドルのプロデューサーであるともっぱらの噂。 ドール、カメラ、声優など、さまざまな「沼」に足を踏み入れている。