競輪選手はよく喋る|DMM競輪

競輪選手はよく喋る

競輪場宿舎…。
 
 
それは、スマホをはじめとしたデジタル娯楽を取り上げられた競輪選手が、必死に娯楽を求めてもがき苦しみつつ傷を舐め合う空間のことである…。
 
宿舎は基本的に、個人の就寝スペース(通称:巣箱)と、テレビが置いてある団欒スペース(通称:畳の部屋)があります。
 
もちろん形や巣箱の数は競輪場によって色々ですが、だいたい手前に巣箱が4つ、奥に四畳半程度の畳の部屋がある四人部屋タイプが競輪場宿舎の基本スタイルです。
 







これは、競輪開催中のカメラ等撮影機器が持ち込み禁止になる前に撮影したスタンダードな形のお部屋です。
 
昔の写真である証拠…と言うと変ですが、これは改修前の玉野競輪場の宿舎です。
 
今では立派なホテルが建ち、そこが宿舎兼用となっているため、もう使われていません。
 
ある意味貴重な写真かもしれませんね(笑)。
 
 
写真の様に、畳の部屋には基本的にテレビと冷蔵庫、机と座布団が置いてあります。
 
この写真の畳の部屋には洗面台がありますが、部屋ごとに洗面台がある場は割と貴重なパターンです。
 
ほとんどの宿舎は、共用洗面スペースで顔を洗ったり歯磨きをします。
 
 
以前、競輪開催の中でも特に暇なミッドナイト競輪開催を例に、どんな娯楽で時間を潰しているのか、という話を書きました。
 

暇な時間、何して過ごす?


 
この記事の中で出てきたアナログな娯楽たちは、基本的に「巣箱」の方で消化する娯楽です。
 
ここで紹介した巣箱での娯楽に勝る、工夫次第では無限に時間を潰すことが出来る最強のコンテンツがあります。
 
 
 

それは「選手同士のお喋り」です。
 
 
 
 
読む本がなくなったり、ゲームボーイに飽きた競輪選手は巣箱からモゾモゾと出てきて、畳の部屋で自然に合流し、テレビで流れる競輪などを眺めつつ、他愛もない会話を繰り広げているのです。
 
今回は、競輪選手の裏側を知りたいお客様必見!
 
競輪選手が日頃、宿舎でどんな話をしているのか?という、割と生々しくてリアルな話を深堀りしていきますよ〜!
 
 
 
 

【競輪の話】

 
まあこれは鉄板ですね。
 
今日のレースの話、明日の番組の話、自転車のセッティングの話、練習やケアの話、そしてテレビでスピードチャンネルを見ながら他人のレースにあーだこーだ…など、競輪に関する話題です。
 
自分では思いつかない他人の練習方法など、学びになる話が飛び出しやすい!
 
まさにプロ同士の会話!素晴らしい話題です。
 
S級選手が集まれば集まるほど、競輪の話をする時間が増える気がします。
 
競輪の話をしないから弱い、ということではありませんが、やはり強い人は競輪に対するモチベーションが違いますね。
 
逆に、競輪の話をするから強いのか?と言うと、それはそれで違います。
 
競輪選手には、弱いのに練習の自論だけは立派な人ってのが結構いるんですよ。
 
聞いてもいないのに
 
「俺はこういう練習をしている」
 
「お前もやってみたらいい」
 
なんて、何故か講釈を垂れてくるんです。
 
それでいて、級班は自分より圧倒的に下位…なんてのもザラにありますよ。
 
一度、80点くらいの中堅世代選手が、100点レーサーの若手に練習を一方的に教えているのを見た事があります。
 
傍から見ていると滑稽ですが、本人は努力してるつもりだし、それを認めてほしい!というのもわからんではないのですが(笑)。
 
 
まあ、そんなありがた迷惑話でもあくまで「時間潰し」としては悪くなかったりします。
 
「あーそうっすねー」と適当に相槌を打っていると、一人で喋り続けてくれますから。
 
そんなんも、また一興ですね(笑)。
 
 
ただ、何より話題がお堅い。
 
言ってしまえば仕事の話ですもん。
 
僕は仕事に疲れて宿舎に帰ってまで、仕事の話なんてしたくないね!(ドクズ)
 
 
 
 

【趣味の話】

 
多趣味を極めるぼくの主戦場です。
 
ぼくは昔からインターネットの海を泳ぎ続けているお陰で、メジャーからマイナーまで、様々な趣味をある程度語れます。
 
いや、正確にはそこまで語れないんだけど、ガンダム好きに好きなMSを聞かれたら「ゲルググが好きです」と言えば割と最適解になるような、わかる人にはわかるタイプの会話の種ワードを多種多様にインプットしているため、かなり話を広げるのが得意です。
 
このスキルのお陰で、上位のスター選手や全く知らない他県の選手が底辺の僕に趣味の話題で話しかけてくださったり、仲良くしてくださったりするので、人生わからんもんです。
 
車や時計、アニメやゲーム、最近だとアウトドア趣味やコーヒー趣味が流行りですかね。
 
近況やこだわりまで、様々な趣味にまつわる会話が繰り広げられます。
 
 
もし、趣味仲間の競輪選手が一緒の開催だと、寝る間も惜しんで語り合ったり…なんて人もよく見かけますよ。
 
しかし、趣味の話は割と諸刃の剣。
 
全員が僕のように広く趣味を理解しているわけではないので、趣味が合わない相手だと全く話が弾みません。
 
時計の話がしたいのに、相手は全く興味がない…どれも同じでしょ…金の無駄…なんて言われると、時間潰しにもなりませんよね(笑)。
 
まあ、知らない相手にイチから説明する、というのもそれはそれで楽しいのですが、基本的には建設的ではない、その場しのぎの会話になってしまいがちです。
 
 
 
 

【愚痴・悪口】

 
生々しいところですが、競輪選手も人間。
 
気に入らない事があったり、嫌な事があれば、他人と共有して傷を舐め合いたいものです。
 
 
どこの社会でもそうでしょうけれど、最近アイツがヤバイだの、嫌いだの、他人を貶す話題って共感を呼びやすかったりしますよね。
 
だいたい、○○がなにをやらかした!だの、××がこんな事を言っていた!みたいな噂話ってのは話題の種になりがちです。
 
そういう噂話から発展して、自分の意見を述べ、その意見が合えば、共通の敵として結束が深まる。
 
そして生まれる、派閥意識…。

 
『ホーム側バック側という概念』

 

もちろん、万人がそんな話をしている訳ではありませんけど、それなりに観測する機会が多い話題ではあります。
 
陰湿な話ですねぇ。
 
競輪選手って、意外と女々しい人が多いんですよ…。
 
 
 
 

【恋バナ・下ネタ】

 
これだよこれ!結局これなんだよな!
 
年齢も国籍も関係ない!同性が集まれば、自然に話す事は恋バナ、下ネタだ!
 
 
若手選手には「彼女おるんか?」から始まり、既婚の先輩選手には奥さんとの馴れ初め…なんてしょーもない恋バナは、結局のところ最強の話題ですよね。
 
先輩後輩で喋っているとパワハラやセクハラに繋がりそうな話ですが、共同生活という環境で同性同士ですから、正直みんな気にしていません。
 
競輪開催は、毎日が修学旅行みたいなもんなのです。
 
 
下ネタに関しては、もう男子に生まれた以上は説明のしようがないでしょうよ。
 
 
その昔、「御大」こと佐古 雅俊さん(広島45期・引退)がいらっしゃった頃…。
 
風呂場で、大きな声で
 
「競輪選手は10年やっても話す内容は中1じゃ!
ワシは40年くらい選手やっとるから、やっと高1くらいにはなったかのう…」
 
と言っておられました(笑)。
 
笑い話っぽいですが、競輪選手だけではなく、男子社会の単純さと馬鹿さ加減を上手く表現した大ベテランの金言だと思うんですよね。
 
大人になっても、結局喋る内容は中学生。
 
馬鹿話で大笑いすると楽しいのは、全世代共通です。
 
 
ここで和みエピソードをひとつ。
 
新型コロナウイルス騒動のかなり前、短期登録の外国人選手が来ていた時代…。
 
風呂場で、中部の某先輩とバカ話を繰り広げて盛り上がっていたところ、外国人選手が数名入ってきました。
 
僕も先輩も英語が全然ダメなので、一瞬たじろいだのですが、向こうは異国の地に単身お金を稼ぎに来ている戦士。
 
しかも世界大会で結果を残している面々ばかりなので、いち自転車乗りとしてのリスペクトもあります。
 
同じ湯船に浸かって、気まずそうにするのは失礼ですから、言葉の壁に臆することなく、お疲れ様です!と言うと、外国人選手は「オツカレサマデース」と返してくれました。
 
何となく和やかな雰囲気が漂った瞬間に、先輩が当時流行っていた「乳首ドリル」を突然僕に繰り出してきたのです。
 
僕も「オーマイガー」とか言っちゃって、外国人選手も湯船の他の選手たちも大笑い。
 
その流れで、乳首を指さしながら「in English here is what?」なんて、文法の概念が存在しない、あまりにもクソみたいな英語で外国人選手に話しかけてみたところ
 
「nipple」
 
と返してくれました。
 
僕と先輩は大盛り上がり。
 
 

「オーー!ニッポォ!」
 
「ニッポォドリル!」
 
「オーマイガー!」
 
「ニッポォ イズ ドリーム!」

 
 
なんて叫びながら乳首ドリルを乱発し、外国人選手やら湯船の他の選手を巻き込んでバカ騒ぎして、皆大笑い!なんて事もありました。
 
 
文字通り、世代も国境も超えた盛り上がりがそこにはありましたよ。
 
 
ありがとう下ネタ。
 
これからもよろしくな、下ネタ。
 
 
 
 
下ネタの話したかっただけじゃんおっと、競輪選手が日頃、何をお喋りしているかをつらつらと語ってまいりました。
 
いかがでしたか?
 
 
正直、競輪選手だからって変わった事を喋る訳では決してありませんよ。
 
自転車を下りたら、ただの人間。
 
お客様と全く同じなのです。
 
集まって喋る話題は、ほんと人間味溢れるものばかりです。
 
当記事を通して、競輪選手をもっと身近に感じていただければ幸いですよ。
 
 
最近、記事の締めが同じようなワードになっていますが、今回も凝りもせず使いました。
 
めげない心こそ、競輪選手に必要な要素なのです(しらんけど)。
 
 
って事でまた次回!

1995年3月30日生まれ。滋賀県出身。 日本競輪選手会 奈良支部所属107期の競輪選手。現在はA級2班。同期には新山響平、山岸佳太、簗田一輝など。 ……以上はすべて仮初めの姿であり、本業は某アイドルのプロデューサーであるともっぱらの噂。 ドール、カメラ、声優など、さまざまな「沼」に足を踏み入れている。

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