センター、出てますか?
センターという単語は競輪界で非常にポピュラーなワードです。
タイトルの通り、主にセンターが出る、出ない、という言い回しをしますよ。
唐突ですが、皆さんはウォシュレットを使ったことはありますでしょうか。
ぼくは、生まれてから競輪選手としてデビューして、さらにそこから数年…26歳くらいまで使ったことがありませんでした。
クソのキレがいいので、まずウォシュレットを使う発想すらなかったんですよね。
なんなら和式便所派ですし。
そんな状態で、なかなか「あっ!今から唐突に人生初のウォシュレット使ってみようかな」という気持ちにはならないものですが…(笑)。
競輪選手になってから数年目のある日、突然おもむろにウォシュレットのボタンを押してみたんですよ。
すると、あろう事か水流はおしりの穴ではなく、おしりの右のほっぺたに直撃したのです。
そう、個室で誰にも矯正されることなく数十年間も自由にクソを放っていた僕の便座フォームは、大幅にセンターがずれて左に外れていたのです…。
「えっ、という事は、普通に座っている姿勢も大幅に曲がってたりするのだろうか…」
そうして疑心暗鬼になり、鍼灸院や整体院に通い詰める日々が始まったのである。
この状態を「センターが出ていない」という訳です。
…なんて文字通りクソみたいなエピソードは置いておいて...。
競輪選手をやっていると、「センターが出る、出ない」に触れる場面が非常に多いです。
最も触れる場面が多いのは自転車のセッティング。
サドルとハンドルステムは筒が差し込まれているだけなので、左右にブレることがあります。
うーん、文字じゃ分かりにくいですかね?
こういう事です。
これはサドルのセンターが出てない状態。
ちょっと極端すぎますね(笑)。
これはサドルのセンターが出ている。
だいぶ誇張しましたが、こういう事です。
センターが出ていない状態=だいぶ普通じゃないという事です。
センターとは、本来「中央、中心」という意味ですが、競輪界のスラングとしてのセンターは、どちらかというと中心軸の事を指す気がします。
この「センターが出ている」という言葉は、自転車に対しても、人間に対しても使います。
冒頭のクソみたいな話にもあったのですが、人間って、普通に生きているだけでも無意識のうちに身体にクセが染み付いていき、体幹が微妙に歪んでいくものなのです。
整体などに行って、まず「まっすぐですね」と言われる事は無いと思います。
これは、センターが出てない状態。
一般の方はセンターが出ていなくても肩が凝るくらいの話ですが、我々はプロスポーツ選手。
センターが出ていないと、かなりパフォーマンスに影響が出るんですね。
って事で、競輪選手はもちろん、プロスポーツ選手は、必死に身体のケアをし、少しでもセンターがズレないよう心がけているんです。
先述したサドルのセンターが出ていない状態が身体で起こると考えてみてください。
異常事態ですよね(笑)。
そんなこんなで、我々は喉から手が出るくらいセンターが出た身体を手に入れたいのです。
さて、ここからはセンターにまつわる回想シーンです。
〜デビュー直後、競輪場控え室にて〜
ぼく(20歳)「はぁ〜なかなか優勝できないなぁ…」
先輩「お前チン毛のセンターが出てないねん。剃れや」
ぼく(純粋)「そ、そんなやり方があったのかッッ!」
馬鹿です。
でも、さっき書いたじゃないですか。
我々は、喉から手が出るほどセンターを出したいんですよ。
先輩の金言(笑)を真に受けて、実際に剃ってみると、なんと次の場所で完全優勝。
驚きの効果!
〜後日〜
先輩「おー田村優勝してたやんけ、おめでとう」
ぼく「ありがとうございます! 先輩に言われてチン毛を剃ったお陰です! アドバイスありがとうございました!」
先輩「えっ? あぁ、そう…ね?」←言ったこと忘れてる
…このくらい、競輪選手にとってセンターが出ている身体は喉から手が出るほど欲しいものなのです…。
余談すぎますが、この後もしばらくチン毛を剃っていたのですが、あまりにもチクチクするのでやめました。
脱毛までやったら違うんでしょうけどねぇ。
やはり人間、自然が一番です。
…なんの話してましたっけ…?
いくら強い選手でも、チン毛…おっとセンターが完璧に出続ける人はひとりもいません。
疲労はもちろん、トレーニング時の力み、練習以外の生活パート(片手で物を持つ等)で、生きている以上必ずブレが生じるからです。
ズレが出たまま練習すると、その形で筋肉がついてしまいズレた身体から永遠に脱出できない! という事態に陥りますよ。
そのため、強い弱い関係なく、競輪選手は必死に身体がズレないように日常から努めているんです。
いや、生きている以上はズレない事は不可能なので、正確にはズレが大きくならないように努力している、という方が正しいかもしれませんけどね。
これ以上色々書いても回りくどいのでやめときます(笑)。
これは下位戦線の話ではありますが、
・ケアが足りず身体がズレた状態で死ぬほど練習をしている選手
と
・ケアが行き届いてセンターが出た状態でそれなりに練習している選手
がレース本番を走った場合、後者が勝つ事が結構多いんです。
不思議な話ですよね。
プロスポーツの世界って、結構奥が深いんですよ。
という訳で、ぼくはケアに一生懸命努めて、整った身体でそれなりの練習を重ねてなんとかお金を稼ぎたいと思います。
頑張るぞ!
ちなみにさっきの話、なぜ下位戦線と限定したかって?
上位の選手はケアも万全でセンターのズレが少ない状態で、必死に練習しているからさ!
勝てるわけねぇよな!←がんばれ
…ってな訳で(雑な話題転換)。
今回は「身体のセンター」にまつわるお話を書いてみました。
スポーツ選手では無い皆さんも、一度身体の軸を意識してみてはいかがでしょうか?
前後左右、あるいは捻れが出ているかもしれませんよ。
お金がもったいない…なんか胡散臭い…と思わず、一度凄腕の整体師さんや鍼灸師さんに体を見てもらうと、生活の質が向上するかもしれませんよ。
『いつも行ってる鍼灸院』
ってな訳でまた次回!
1995年3月30日生まれ。滋賀県出身。 日本競輪選手会 奈良支部所属107期の競輪選手。現在はA級2班。同期には新山響平、山岸佳太、簗田一輝など。 ……以上はすべて仮初めの姿であり、本業は某アイドルのプロデューサーであるともっぱらの噂。 ドール、カメラ、声優など、さまざまな「沼」に足を踏み入れている。