ADVANCEについて語りたい〜前編〜
人類史上最高のゲームですよね…。
あれ? アドバンス違いですか…?
なんて、毎回当然のように挟まれる小ボケは置いときましょう(笑)。
今年度から、KEIRIN ADVANCE(以下アドバンス)がスタートしましたね。
皆さん、アレどうですか(雑すぎるフリ)?
ぼくは、正直うーんと思うところがあるのは正直なところ。
といっても、否定するつもりはありませんよ。
語りたいことは色々あります。
皆さんもそうじゃないですか(笑)?
今回は、アドバンスについて色々お話しましょう!
なんていいながら記事を書き始めたのですが、まあ語ることが多すぎますよね(笑)。
一撃ながーい記事にしてもいいのですが、流石に前後編に分けました。
前編である今回は、希望的観測というのでしょうか、アドバンスの商品価値について考えて、ちょっとポジティブな感じのトピックスをメインに書きました。
ちなみに後編は、うーんと思ったところをピックアップした感じです。
ポジティブネガティブに分けたって訳ではないですが、後編の方がお客様の共感を誘う内容じゃないかとは感じています(笑)。
まあそれは一旦置いておいて、とりあえず今回は今後の競輪に影響与えるかもしれない、アドバンスの商品価値について語っていきましょう。
・商品展開の多様化
こんな場末のブログを見に来てくださっているお客様は、ある程度競輪をご存知で、かつ楽しんでくださっている方々だと思います。
そんな方々からすると、多分アドバンス、あんまり面白くないと思います。
いきなりネガティブな話題じゃねーか!って、そうではないんです。
その、特に面白くない、ロト6的で単調なギャンブル要素がある商品というものが、現状世の中では売れてしまっているのです。
パチンコやスロット、違法ではありますが事実広まってしまっているオンラインカジノなんて最たるものです。
お金を賭けている感覚が薄く、何となしにプレイが進んでいく、勝つ時は実力なんて関係なく「なんか勝つ」。
展開を予想して大きな払戻金を狙うのではなく、収支はそこまで増えなくてもある程度「こうすれば当たる」という成功体験を得る事を重視するのが、現在のギャンブル界隈ではポピュラーな考え方みたいです。
そういうのが、意外と射幸心を満たすみたいですけどね。
ボートレースも「艇数が少なくインが有利」という分かりやすさで新規顧客を得て売れている、とされています(ボートレース好きとしてはもっと違う魅力がある事は分かりきっていますが、そこは一旦置いておきましょう)。
まあ、ぼくは公営競技以外のギャンブルをやった事がないので偉そうなことは言えませんが、まあそういう情勢である事は間違いないですよね。
さて、競輪に新規顧客がやってきた際、ほとんどの人が「分かりにくい」という感想を持つそうです。
この記事を読んでいる皆様も最初は初心者だった事でしょう。
そんな状態でも、おそらく教えてくれる人がいたり、上手い具合に最初に車券が当たったり、ギャンブル外の魅力に触れてくださったり…。
単に性に合った!って方も中にはいらっしゃるのかな…。
まあ、何かしらの要素が偶然気に入るなり、成功体験があるなり、ポジティブな何かがあったからこそ競輪に触れ続けてくださったからこそ深い魅力に気付いてくださったと思います。
なにせ、初心者の状態からいきなり競輪の “深さ” を理解してファンになってくださった方なんてほとんどいらっしゃらないですよね(笑)。
初心者こと新規顧客の方々は、まず最初にラインという概念に触れた時点でそれなりに壁にぶち当たります。
理解してしまえば選手各々の役割、その位置に対しての実力や義理堅さなど、脚力以外の予想要素が増えて奥深い要素です。
複雑だからこそ理解すると面白い! というのが競輪のミソですしね。
しかし、最初は「なんで勝負してるのに協力してんだよ」「談合と何が違うんだ」と思ってしまうのは仕方ないし、わからんでもないです。
そんな感想を持った新規のお客様の、まあ9割はすぐに競輪から離れる事でしょう。
だって、競輪以外にも簡単なギャンブルはいっぱいあるんですから!
ギャンブルがやりたいお客様に「競輪は難しいからボートの方がいいや」「パチンコ行こ」といわれては、もはや競輪というコンテンツは去りゆくお客様を黙って見送るしかないのです。
いや、なかったのです。
そう、今後、そういう方々に一言「アドバンスなら分かりやすいよ!」といえるようになる。
これは競輪という店舗の “商品展開” としてはとても大きいですよ。
しかも、競輪にはミッドナイト開催で21時以降にも商品を提供できるという、他のギャンブルにはない圧倒的なアドバンテージがあります。
昼はボートやパチンコで満足、でも夜は競輪しかやってないから、仕方ないけど競輪を買うか。
というライトなお客様に対しては、単純なギャンブル商品であるアドバンスを入口にしてもらえれば取っ付きやすいし、「なんか当たる」成功体験を植え付けやすく、顧客獲得に繋がりやすい訳です。
どんな入口であれ、継続して「競輪という店舗内の」コンテンツに触れていただければ、先述した「競輪の魅力」に触れる機会が増え、理解してくださる方が増えるかもしれません。
すなわち、そもそもアドバンスって既存のお客様に向けた商品ではないんです!
なんだったら競輪をベースに言うと、要素が省かれた下位互換です。
でも、そんな商品に需要がないのかと言うと、そうではない。
絵本もライトノベルも読んだことがない人が、いきなり長編小説にハマる訳がありません。
深夜帯に「空いてるお店」を覗きにきた「簡単なギャンブルを求める層」が手に取りやすい商品がアドバンスって訳ですね。
しかも、売上にゆとりがある今だからこそ、新商品にチャレンジできるってもんです。
商品ターゲットが違うんだから、そりゃあ現在の競輪ユーザー様の間では否定的な意見が目立つのは当然ですよね。
既存ユーザーの皆様はいままで通り、競輪を極めてくれってこった。
選手もどちらかと言うと既存ユーザーの一員ですから、スタンスとしてはお客様の意見に近いです。
色々言いたいことはありますが、まあその話は後編に回しましょう(笑)。
・全員単騎のメリット
まあ、そもそも競輪のルールに「ライン」なんて存在しないんですけどね。
なんてややこしい話は置いておいて…。
この、全員単騎というシステムには大きなメリットがあります。
それは、斡旋配分や番組が相当に簡略化できるという点です。
先頭固定では、斡旋を出すにあたってJKA斡旋課の職員さんが地区、自力追込、競走得点のバランスを調整しつつパズルのように全国の開催に選手を振り分けているのです。
正直、人がやる作業なのでかなり偏りが出る事があります。
特に、我々の中部近畿地区に所属している選手は地理的に中央の地域ですから、東西どちらにも分散して斡旋される事が多く、慢性的な自力選手不足に陥っています。
一度、全国斡旋ではないにも関わらず、中部近畿が4人だけ、更にぼく(ほぼマーク屋の自在)が自力一番手で、他は全員ベテランマーク屋という斡旋がありました。
これ、客観的に見てもちょっと酷いと思いませんか(笑)?
全員が納得できる配分、番組なんてありませんし、厳しい開催があっても一所懸命走って車券に貢献するのがプロってもんです。
でも、向こうから「プロなら文句言わず黙って走れ」といわれているかのようなしわ寄せを食らうのは正直ゴメンですよ(笑)。
こちとら商売ですからね。
自分のキャリア寿命が縮むレベルの開催に呼ばれると、欠場も視野に入るのは仕方ない事だと思います(ぼくはそれでも走るタイプですが)。
JKA斡旋課さんも、2000人の選手をパズルのように管理する莫大な作業です。
ひとりひとりの偏りを確認するのは絶対無理ですし、ヒューマンエラーが出るのも仕方ない…と心では思いつつも、そっちも斡旋を組むプロとして競輪界に金もらってんだから、ある程度は納得できる斡旋を組めよ、と思うわけです。
特に中近の割の食い方は結構厳しいものがありますから、尚更かもしれませんね(笑)。
しかしながら、アドバンスのルールだと、その辺のなんやかんやが一気に解消されるのです(あまりにも力技ですが)。
向こうも金貰ってるプロなので、JKAの作業量が減ることがメリットだとはいいませんが、これが今後の選手の負担軽減に繋がる可能性も感じています。
これは完全に希望的観測ですが…。
今後、お盆や正月の斡旋の混乱が多少は解消されるのではないか? と予想しています。
以前、年末年始やお盆期間は季節の変わり目による体調不良と期末の点数管理、そして長期休暇期間の交通混乱の相乗効果で、とてつもない欠場者が出る件について解説した記事があります。
見てない方がいらっしゃったら是非みてね!
【スポーツマンは屈強? いいえ、よわよわです】
この繁忙期の人手不足に対して、ぼくも含め業界内で提唱されているのが「近隣地区斡旋」です。
車で行ける範囲なら多少混雑する時期でも選手は喜んで行くし、交通混乱で公共交通機関のチケットや宿が取れないといった問題もなくなります。
しかし、おそらく地区による選手数や開催場の差がある事で色々と面倒臭い事情があるんだと思います。
いくらなんでも、こんな簡単な事、やれるならもうやっているはずですしね(コロナ禍の時はできてましたからね)。
察しのいい方は既にお気付きでしょうけど、この辺の面倒臭い色々、アドバンスだと一切気にする必要がないですよね?
ある程度、脚力バランスを考慮する事は必要でしょうし、開催場の偏り問題はどうしようもないけれど、自力、追込はもちろん、地区ごとのパワーバランスを一切考慮しなくていいという点は相当なアドバンテージです。
今後、繁忙期の近隣斡旋やそれに近い対策を練ってくださるのではないでしょうか。
そうなれば、選手の負担軽減に繋がり、欠場者が減り、施行者さんの顔も立ちますよね。
まあこれはあくまでぼくの希望的観測ですし、だからといって繁忙期の斡旋がすべてアドバンスになるのはゴメンですけどね。
とはいえ、流石に今回の番組の大幅な変更やアドバンスを強行しておいてこの辺りの改善に繋げない…というのはいくら何でも経営者としてヤバイと思います。
実は近隣地区斡旋は選手会が具体案を出していまして、施行者様も望んでいるはずですが、現状JKAは「選手が休むのが悪いから現状維持」という考えのようです…。
いくら何でもその辺を見据えての施行ですよね?
アドバンスを緩衝材にして、斡旋のバランスを取るんですよね?
希望的観測に近い形で改善があると信じています。
って事で、前編は一旦以上で切り上げます!
それなりに客観的な観測だとは思いますが、ぼくは選手の立場でしか語れませんから。
もちろん色んな立場の人に色んな意図があって、他にももっと様々なポジティブな面があるはずです。
もしかすると、今後、外国人選手の短期登録が復活した際に「落車のリスクが低い」という理由で超大物選手を日本で見ることができるかもしれませんしね!
今回の記事は、アドバンスの存在を割と好意的に捉えて色々を書きました。
次回は、もう少し踏み込んで「言いたい事」をぶちまけて、お客様の共感を誘っていこうと思います!
後編も盛り上がって参りましょう。
では、また次回!
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1995年3月30日生まれ。滋賀県出身。 日本競輪選手会 奈良支部所属107期の競輪選手。現在はA級2班。同期には新山響平、山岸佳太、簗田一輝など。 ……以上はすべて仮初めの姿であり、本業は某アイドルのプロデューサーであるともっぱらの噂。 ドール、カメラ、声優など、さまざまな「沼」に足を踏み入れている。