ADVANCEについて語りたい〜後編〜


 
 

 


田村くん、最近酒飲んでなくない?
 
 
と、思われても仕方ないくらい、近頃〝居酒屋たむら〟は休業しています。
 
 
いや、別に飲んでない訳ではないんですよ。
 
 
写真の通り、遠征のレース終わりなんか皆ではっちゃけて打ち上げますし。
 
 
でも、最近中3日とかでお酒をがぶ飲みすると、疲労が出るようになってきましてね。
 
 
ほんと、日常パートでは嗜む程度しか飲んでません。
 
 
これが30歳の壁か…。
 
 
うーん、なんか世知辛いなぁ。
 
 
 
 
世知辛いと言えば、KEIRIN ADVANCE(以下アドバンス)のお話ですね!(意味不明)(支離滅裂)(強引すぎる)
 
 
導入でなんかやらないと寂しいやん。
 
 
好きにやらせてくれよ!(何と戦ってるんだコイツ)
 
 
いやもう細かいことはいいじゃーん! なにせ前回の続きです!
 
 
前編を見ていないと理解できないような話ではないですが、まあ一応リンクを張っておきますので見てない方は是非見てね!
 
 
 
【ADVANCEについて語りたい〜前編〜】
 
 
 
前回はアドバンスの商品展開としての価値を語りました。
 
 
後編である今回は、アドバンスを開催するにあたって感じたモヤッとポイントを語ります。
 
 
まあ、ぼくはまだアドバンスを走っていないので、レース内容に関する話はまったくありませんのでご了承ください。
 
 
今回のお話、お客様にも多少共感していただける内容だと思うので、ウイスキーでも片手に、酒の肴にしてくださーい!(もはや投げやり)
 
 
では参りましょう。
 
 
 
 
 
・流石に強行しすぎでは?
 
 
 
お客様にアドバンスの存在が発表されたのは2025年1月頃だったと思います。
 
 
記者さんがこぞって記事にもしておられましたし、SNS上でもファンの皆様の中で賛否ありましたね。
 
 
いや、ほとんど否だった感じがしますが…。
 
 
まあその点は、前回考察した通り「既存ユーザーへ向けたコンテンツではない」という点がありますので、一旦、端に置いておきましょう。
 
 
こういう「公営競技」の新規コンテンツって、割と長期にわたって企画が練られ、かつ準備期間もそれなりに用意して、走る選手にも研修などを課してやっと始まるものだと思いますよね。
 
 
例えばPIST6が始まる時なんて、こういう企画が始まります!と選手に通知があってから、参加希望選手には研修を行い、発表から1年の期間を経てスタートしたものです。
 
 
しかし今回のアドバンス、実は選手に発表された時期が昨年、2024年の冬頃です。
 
 
そう、実は、当事者である我々競輪選手ですら、アドバンスの存在を知ったタイミングはファンの皆さんと大して変わらないのです!(笑)
 
 
からの、4月からスタートしまーす! ですから。
 
 
「えっ、マジでやるの?」と混乱している間に、本格的に始まっちゃいましたよ。(笑)
 
 
しかもアドバンスはルールが違うにも関わらず、研修がありません。
 
 
一応、全選手にメールでルールブックが配布され、出走選手は開催場で前検日に映像を見るらしいですが、ルールに関する周知がその程度なんです。
 
 
ぶっちゃけルールに関しても競輪の簡易版ですし下位互換なので、軽く読めば理解できるものであるのは事実ですよ。
 
 
しかしながら、事実「ルールがイマイチ分かっていないけど頑張る」みたいなコメントを選手が出し、それが世間に公開されている現状なのです。
 
 
これって流石にお客様に失礼では?(笑)
 

現行の先頭固定競走は、競輪学校(現 競輪選手養成所)で1年間競技規則について学び、競走訓練の実走で厳しくルールを叩き込まれてやっとプロとしてレースを走れるというのに、アドバンスは映像見るだけでいいんだ? というのはどうしても思ってしまいますよね。

 
ぼくたち、インターナショナルルールなんて競輪学校で学んでいませんし。


なんだろう、異国の地で、教習所で一度も道路に出ず、座学だけで免許が取れてしまったようなイメージです。
 

また、インターナショナルルールは基本的に競技用自転車のセッティングに合わせたルールです。
 
 
競輪用自転車って、ある程度は横の動きがある前提で設計されているので、競技用カーボン自転車よりもハンドルの動きに敏感なんです。
 
 
初めて実走するのがレース本番という状態で、走った事もないルールでとりあえず走ってみて「あっ」と思うような動きで失格を取られて、お客様の車券をパァにしてみてくださいよ。
 
 
そんなん、流石にお客様に失礼ですよね。
 
 
もちろん、プロとしてギャンブルレースを走る以上は絶対にそんな事にならないよう心がけますし、細心の注意を払います。
 
 
しかし、先述した通り「実走での経験」が一切ない状態ですから、何に注意を払えばいいのか自体よく分かりません。
 
 
「実際に走ってみて」という手探りの中で、お客様のお金を背負って勝利を目指して全力で走らないといけないのです。

 
先頭固定競走の場合、競輪学校で1年間、身体にルールを文字通り叩き込まれてやっと本番を走れます。


アドバンス同様のインターナショナルルールが採用されているPIST6の場合も、ルールが違うため研修への参加が義務付けられており、バンクでレース形態の実走訓練が2日間みっちり行われ、ルールを身体に叩き込んでやっと出走資格を得ることができるんですよ。


これで「違反する選手が悪い」と言われても、ちょっと辛いものがありません?
 
 

 

あと、大前提ではありますが、日本競輪選手会の総意としては「アドバンス開催には否定的」です。
 
 
何なら、一貫して7車立も否定的というスタンスですしね。
 
 
7車立に関しても、コロナ禍のゴタゴタの最中、感染対策で参加人数を減らすという目的のもとなし崩し的に強行されたものです。
 
 
そこから現在も7車立が当然のように続いていますから。
 
 
このあたりが独裁的というか、お役所的というか…なんとなくモヤッとする何かを皆に植え付けてしまっている気がします。
 
 
まあ終わってみれば車券が買いやすい訳でもないし、オープニングの御祝儀期間にも関わらず大きく売上が上がるという訳でもない。なんならちょっと落ちている場もある…という状況なので、今後どうなるんでしょうね。
 
 
前回は色々と簡略化されたアドバンスをポジティブに捉えて書きましたが、ギャンブルをやる奴なんてどんなレースでも買うんだからJKAの負担が少ない面白くないレースでいいんだよ! というスタンスが透けて見えるのは、かなり残念ですよね。
 
 
 
 
 
・流石にデータは別にしてほしい!
 
 
 
このあたりの不親切さはいまに始まった話ではない、ウチの業界のあるあるではありますが…。
 
 
流石に今回は改善してほしい!
 
 
なぜ選手の出走データや決まり手を、アドバンスと先頭固定競走でごっちゃにするのか!
 
 
これは選手はもちろん、お客様や実況解説の方々からも文句が出ているネガティブポイントです。
 
 
あとついでに言えば、keirin.jpのトップページの開催場のところもパッと見でアドバンス開催だと分からないじゃないですか。
 
 
あれってどうなんですかね…。
 
 
ナイターとかガールズみたいにアイコンつけてくれませんかねぇ。
 
 
 
keirin.jpの選手個人のプロフィールページの出走履歴欄を見ても、いつアドバンスを走ったのかが一切分からないです。
 
 
さらに、決まり手や勝率も先頭固定競走とまったく同一の扱いで表記されています。
 
 
これ、データとしてかなり分かりにくいですよね。
 
 
 
 
ぼくは脚力勝負! と言うよりはデータ派の選手なので、開催に参加する前にはある程度出走予定選手のプロフィールを確認してからレースに臨みます。
 
 
開催に入っちゃうとネットは見られないので、結構必死に確認します。(笑)
 
 
この際、自力選手の逃げや捲りの比率はもちろん、後ろを千切るダッシュを持った自力選手なのか、マーク選手なのか追込選手なのか、マーク選手なら決め足があるのか、追込選手は前を潰す追込みなのかある程度庇うのか。
 
 
などなど、予想のプロであるお客様に近いレベルでプロフィールをチェックしているんですよ。
 
 
そんな中「このマーク屋B付いてる! 最近自力出してるな〜」なんて情報が目についたのに、いざ見に行ったらアドバンスかーい! というのが、最近ちょくちょくあります。
 
 
選手ですらこれですから、お客様も予想のファクターとして決まり手の数字を参考にしにくくなるのではないでしょうか。
 
 
また、脚質が追の選手がアドバンスルールでバックや自力の決まり手をつけてしまった場合、その決まり手を元に自力の番組を組まれる可能性が高まります。(アドバンスは単騎戦の脚力勝負なので、駆け引き次第でマーク選手も捲ったり先行しないといけない場面が出てきます)
 
 
マーク選手って、1回でもバック数や自力の決まり手が付くとかなりしんどい!
 
 
前を付けてもらえず、自分で頑張れ(笑)という番組に放り込まれて、そこで頑張ったら更に自力の決まり手がついちゃう…というスパイラルに陥ります。
 
 
前回の記事にチラッと書きましたが、最近番組編成や斡旋の偏りが結構キツイです。
 
 
我々は斡旋を受ける側なのでそれに文句を言うのはお門違いなのですが、最近の偏りの原因って「競輪を知らない職員さん?」が決まり手の数字やデータだけを見て斡旋や番組を組んでいる事にあるんですよね。
 
 
という事は、アドバンスで自力の決まり手がついたら、一瞬で先述したスパイラルに入っちゃうのは目に見えてますよね。(笑)
 
 
うーん、流石にアドバンスと先頭固定の決まり手とかデータは別枠にしてくれないかなぁ。
 
 
この辺に気が回らないあたり、選手はまあいいとして、本当に競輪ファンの立場に立てる職員さんが少ないのでは? とまで思ってしまう…。
 
 
この部分だけはこの場をお借りして、改善を強く求めたいです!
 
 
 
 
 
・多分、ADVANCEの方が要素が複雑になる
 
 
 
最後はいちギャンブル好きとして、買う側の立場に立ってみた意見です。
 
 
ラインなし! と謳っていますが、現実は「コメントなし」ですよね。
 
 
ラインがあるかないかでいえば「ない」と断言できますが、自転車競技である以上は〝ラインっぽい利害関係〟は確実に出てくるんです。
 
 
最初のトピックスで書いた通り、まだ手探りで「走ってみて」状態のアドバンスでは並走が少ないですが、今後ガールズのように熟れてきたら、逃と追の脚質がハッキリしている男子は女子以上に位置取り争いが激しくなるはずです。
 
 
つまり、ルール的に競りはできないにせよ、展開予想という意味では実質全レース競りの状態に近いのです。
 
 
「シンプル」だとか「簡単」からは程遠いものではないでしょうか。(笑)
 
 
挙句の果てに、競輪道が存在しないアドバンスでは脚力のあるマーク選手が好位置にいても「自力選手を残す」などという〝義理〟を一切考慮しない差しや捲りを発動できる訳で、こうなってくると逃追の脚質に基づいた位置取り予想もほとんど意味を成さなくなるし、そうなってくると軸に対してのいわゆるヒモ要員がかなり複雑になっちゃいます。
 
 
さらに「点数を持っているマーク選手」が、横の動きを封じられるアドバンスでは意味をなさなくなる訳ですから、結局のところ先頭固定以上に選手の特性を理解する必要が出てきますよね。
 
 
これらを鑑みると、ラインや競輪道の不文律を理解するまでは多少複雑だとしても、結局コメントや競輪道という「縛り」がある方が、実はシンプルで簡単なのではないでしょうか?(笑)
 
 
これまでの開催を見た感じ、本命決着の割合って先頭固定のミッドナイトとそない変わらなくないですか?
 
 
なんなら変な穴が出る率、アドバンスの方が高くないですか?(まあ時期柄ルーキーシリーズのADVANCE開催も混同してるので、今後わかりませんが)
 
 
初心者に向けたコンテンツかもしれませんが、うーん、個人的にはアドバンスの方が難しい気がする。
 
 
まあ、もしかすると「ラインがある方がわかりやすい」という事実に初心者が気付くための土台として、アドバンスは機能するかもしれません。
 
 
まあ、そのあたりも含めて今後の展開と改善に期待したいですね…という雑すぎる総評を表明したところで、アドバンスに関するお話を締めようと思いますよ。
 
 
 
 
 
以上、前編後編にわたってKEIRIN ADVANCEについて語りました。
 
 
いや、もっと書きたいことは沢山あるんです!
 
 
言いたいことは無限にあるんですぅ!
 
 
しかしながら、興が乗って過激な内容になりすぎて、コンプライアンスに引っかかりそうになる前にブレーキをかけておきます。(笑)
 
 
自主規制って奴ですね。
 
 
知らんがな。
 
 
今回は、読者の皆さんと酒を汲み交わしながら愚痴を言っているかのような記事になりました。(笑)
 
 
ちょっとネガティブな内容も挟みましたが、読んでもらえばわかる通りアドバンス自体の批判は一切ありません。
 
 
なんなら一度走ってみたいし(一度でいい 繰り返す、一度でいい)、今後の動向も見守りたいところですよね。
 
 
僕も含む競輪原理主義のファンの皆様方、新しい時代のウェーブに乗り遅れないよう、頑張って共存していきましょう。(笑)
 
 
では、また次回〜!

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1995年3月30日生まれ。滋賀県出身。 日本競輪選手会 奈良支部所属107期の競輪選手。現在はA級2班。同期には新山響平、山岸佳太、簗田一輝など。 ……以上はすべて仮初めの姿であり、本業は某アイドルのプロデューサーであるともっぱらの噂。 ドール、カメラ、声優など、さまざまな「沼」に足を踏み入れている。

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