スポーツマンは屈強? いいえ、よわよわです
さっっっむいですね!
ちょっと前まで半袖着てたのによォ、最近の春夏秋冬の気温落差はホント暴力的ですね。
あ、皆さん明けましておめでとうございます。
まぁ当ブログをご覧の方はTwitter(現:X)でお会いしてる方がほとんどだと思いますが、一応ブログでもご挨拶させていただきますね。
2025年もよろしくお願いいたします。
企業様のブログなんだから正月に撮った自分の写真くらい貼れよ…ってなもんですが、お正月はレース行ってましたし…初詣も行けてねーし…いらすとやの餅で勘弁してくださぁい!
新年一発目!
という事で明るくポジティブな話題! と行きたいのですが、当ブログはそんなご利益溢れる初詣スポットにはなれません。
リアル、そう業界のリアルを発信していこうと思います。
今年も競輪界の貧乏神としてがんばるぞ(がんばるな)!
さて、今年も年末年始は競輪選手の欠場が目立ちましたね。
Twitter(現:X)でもボヤいたのですが、年末年始には帰省ラッシュ、Uターンラッシュで交通麻痺が起こるのが目に見えているのに、斡旋が出るのが遅く切符が取れない、しかも平気で遠征をぶち込まれている労働環境なので、正直、何かしらの対策をして貰えないだろうか...と思ってしまうのが本音です。
去年も同じような状況だったので、今年は何かしらの改善があるかと思いきや、一切ありませんでしたから。
「休む競輪選手が悪い」とヘイトをぶつけるだけで、本質から目を逸らされている感じがしてなりません。
これで困るのは施行者や現場の職員さんですから。
なんとか皆が良くなるよう改善するといいですねぇ。
ま、その辺のお話はブログで深堀りすると愚痴っぽくなってしまうし、ぼくは年末年始でもお構いなしで走る人間なのでぶっちゃけ他人事ですしね。
走れる人間は一生懸命頑張ろうな!って事で、この話題はこれくらいにしておきましょう(笑)。
なーんて話をしておいて何ですが、実際のところ「お正月はゆっくりしたいので」だとか「交通の便がヤバイので休みまーす」なんて言ってお正月に休んでいる競輪選手はリアルでは見た事がありません。
正直、競輪選手ってレースに行っている間は練習しなくていいので、むしろレースに行きたいと思っているくらいです。
走ればお金も貰えるしね。
この時期の欠場、8割か9割は体調不良が原因です。
毎年、この時期は競輪界でインフルエンザや新型コロナウイルス、ウイルス性の胃腸炎が爆発的に流行します。
ぼくも、2019年はインフルエンザ、2021年は新型コロナウイルス、2023年はインフルエンザ、2024年はウイルス性胃腸炎と隔年ではありますが年末年始開催で流行病を貰ってしまい、苦しい年始を送り続けていましたよ。
競輪選手はプロアスリート、ムキムキのボディで毎日練習をこなす丈夫な身体! ご飯を沢山食べてわんぱく元気! というイメージが強いと思います。
しかしながら現実は、マジでよわよわ。
しかも年末には色々な事情が重なり、欠場に繋がってしまう事が多いのです…。
今回はその辺について語ってみます。
・スポーツ選手は免疫力が低い
免疫という言葉、改めて漢字を見るとなんだか仰々しい…。
ま、意味を噛み砕くと病気への耐性のことですね。
さっきも書いたのですが、スポーツ選手ってムキムキで丈夫なボディ、練習をする体力があって、病気なんて何のその! 免疫最強! という雰囲気を漂わせていますが、それは見掛け倒しなのです。
実際のところ、スポーツ選手って常に練習で疲労が溜まっている=疲れている状態のため、平常時から免疫力が落ちている状態なのです。
つまり、めっちゃ病気に弱い!
特に、ウイルス性の病気などの感染症とは相性最悪です。
感染症って、免疫力が高ければウイルスが身体に入っても何事もなく排出されるんですよ。
しかし、スポーツ選手は練習やレースの連続で体力が落ちており、ウイルスが入った瞬間に身体はてんやわんや!
即発熱! すごい勢いで咳がゴホゴホ!
この時期は文字通り 一触即発 なのです。
・職場でウイルスを撒き散らす
インフルやコロナに罹りやすい競輪選手。
しかし、ここで登場するのがスポーツ選手特有の無駄な体力です。
なんと、咳が出て「何かおかしいな〜」と言いながらも、競輪選手は練習を継続してしまうのです!
なんたる脳筋!
病気になりやすいくせに、病気で行動不能になるハードルが異常に高いのです(笑)。
さらにタチが悪いのですが、空気が乾燥しているこの時期に全力でもがき=無酸素運動を行うと、病気でなくても多少は空咳が出てしまうんです。
そのため、えげつない高熱が出ない限りは「俺って病気かも?」と思いすらしない訳ですね。
そして、そのままバンクで練習し、レースに参加。
免疫の低い同僚にウイルスを撒き散らし、免疫の低い奴らしかいない業界全体ではパンデミックが起こってしまう訳です。
うーん、最悪のスパイラルですねぇ…。
・欠場防止策は諸刃の剣
体調管理もプロの仕事だろ!
そんな小学生みたいな理由で業界に迷惑かけんな! と言いたいところなのですが…。
皆さんは「なんか体調悪いな…」程度で仕事を休めますか(笑)?
休めませんし、休みませんよね(笑)。
競輪選手も同じです。
そんな理由で仕事を休んでいたら社会人として失格ですし、そもそも走らないと賞金が貰えず、生活ができません。
さらに競輪選手が多少の病気でも無理にレースに行ってしまう要因が「欠場防止策」です。
期(1〜6月と7〜12月)の間に2回以上、直前欠場や途中欠場をしてしまうと、ペナルティとして欠場回数+1点の最低3点(失格と同等)が級班審査の評価点から引かれてしまうというものです。
これ、正当な理由があれば直前欠場でも救済されるのですが、救済のハードルがかなり高く、「体調不良」はもちろん「上気道炎」や「感冒」では正当な欠場理由と認められません。
インフルやコロナ等、名前がつく感染症であれば認められますが、感染症であると証明ができる診断書が必要です。
すなわち、いくら高熱がでて「体調が悪いかも…」という理由で欠場して、その後病院に行き、インフルやコロナの抗原検査が陰性となった場合、この欠場防止策の欠場回数にカウントされてしまうのです。
逆に言えば、インフルやコロナじゃない「風邪」の場合や、体調不良でも検査結果がでてない段階であればいくら体調が悪かろうが休まずレースに来いという事になってしまいます。
さらに、この救済措置は腰痛やぎっくり腰はもちろん、練習時の落車などによる怪我にも適用されません。
つまり万が一、期末までに直前欠場してしまうと、期末にぎっくり腰を発症したり、レース外で不幸にも落車した際に為す術なく評価点から3点を引かれてしまう訳です。
そのため、意図せずこの「欠場1回」を温存するような意識になってしまうんです。
もちろん制度自体にそういう意図はないでしょうし、そうでもしなければ理由なく休む事ができてしまうため、こういうシステムになるのは仕方ないと思います。
しかし、現実はこういう弊害が実際に生まれてしまっている訳ですね。
更に言うと、この高すぎる欠場ハードルですが、「欠場1本」の温存に成功している場合、期末には逆に極端に欠場ハードルが下がってしまうのです。
そう、ただでさえ感染リスクが高いこの年末年始の時期、先述したように咳ゴホゴホのヤバイ人がウロウロしている競輪開催…。
そもそも、少しでも不安がある状態でレースを走るのは、車券を買ってくださるお客様に失礼です。
体調に不安があれば、まあ休むのがベストですよね。
競輪選手の立場で言えば、レースを欠場するのって皆さんが思っている以上に勇気がいる行為ですし、何より欠場って多方面に連絡が必要で、結構手間です。
以上の理由もあり、年末はともかく、期のはじまりである年始の欠車はズル休みなどが原因ではなく、十中八九、体調不良が原因なのです。
断言しますよ。
と、色々と言い訳を語ったのですが…。
あくまで、競輪選手の欠場を正当化しようなんて意図はありません。
こういうシステムの穴や流行病に振り回されつつも、やはりそれも含めて管理してこそプロですから。
ですが、我々だってひとりの人間。
夜遊びなんかが原因で病気になっていたら言語道断ですが、やはり体調管理には限界ってもんはあります。
やはり我々競輪選手の立場だと、毎年毎年「プロ意識の欠如」でお正月にズル休みしていると思われているのは、結構悲しいんですよね。
本当にプロ意識を欠いてお正月休みを取っている選手は、思っているほど多くないんだよ、という点は皆さんにも知っていただけると幸いです。
お客様にはもちろん、「競輪選手はプロ意識が足りないから、賞金が上がって調子に乗って欠場している」と思われているJKAや施行者様にも届くと嬉しいですね。
ま、冒頭でも言いましたが、僕はお正月でもパンデミックが起こっていようとお構いなしでレースを走らせて頂きまァす!
なんだったら欠場者が多けりゃぼくに仕事が回ってくる! ラッキー!ってなもんです。
今年の年末と来年の年始…よろしくお願いしますね(ニチャア)?
ってな訳で、免疫よわよわ! 競輪選手の年末年始事情について語りました!
ではまた次回!
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1995年3月30日生まれ。滋賀県出身。 日本競輪選手会 奈良支部所属107期の競輪選手。現在はA級2班。同期には新山響平、山岸佳太、簗田一輝など。 ……以上はすべて仮初めの姿であり、本業は某アイドルのプロデューサーであるともっぱらの噂。 ドール、カメラ、声優など、さまざまな「沼」に足を踏み入れている。