落車の擦り傷の治し方


 
 

 



うわー! 肩にアンパンマンオムツを貼った不審者だ!
 
 
いきなり変な写真貼ってなんなんだよ! と思われる事でしょうけれども…。
 
 
本人は至って真面目です。
 
 
なんで肩にオムツを貼り付けているかというと、落車の怪我の治療です。
 
 
怪我の治療になぜオムツが必要なんだ…。
 
 
まあ流石にそこはご想像がつくと思いますが、オムツの下には擦り傷(擦過傷)があります。
 
 
競輪場の走路は特殊な塗装のアスファルトが敷かれており、紙やすりのようになっています。
 
 
そんな紙やすりの上で落車すると…。
 
 
もみじおろしですね。
 
 
そしてできるのが擦過傷(すっごい擦り傷)です。
 
 
落車に関する記事はかなり前に書いたので、よければそちらも見てみてね!
 
 
擦過傷の応急処置は地獄だぞ!
 
 

【過去記事:病院搬送されるレポ】
 
 
 
さて、皆さんは怪我したことはありますか?
 
 
まあ、大人になってから全身が傷だらけになる人種は競輪選手くらいのもんですが、人生レベルだと子供時代に何度かは転んで大きな擦り傷ができた事くらい、皆さん経験あると思います。
 
 
昔は傷口の治療と言えば洗浄消毒ののちガーゼを直接貼り付けて、消毒→ガーゼ交換を繰り返す方法が主流でした。
 
 
子供の頃、怪我をして病院(保健室)に行くと、傷口に無慈悲に赤チンを塗られて痛い思いをし、翌日ガーゼ交換に行くと傷口に貼り付いたガーゼをベリーッ!と剥がされて痛い思いをし、さらにそこに赤チンを塗られて痛い思いを…というループを繰り返した記憶は皆さんお持ちだと思います。
 
 
あれ傷口とガーゼがくっついて剥がす時超痛いですよね…。
 
 
お医者さんが鬼に見える瞬間です。
 
 
そして傷口が小さくなって、カサブタができたら治療完了。
 
 
なんだか懐かしい。
 
 
 
 
 
実は、このやり方は現在では主流ではありません。
 
 
もちろんまだこのやり方をやっている病院もありますし、傷口に化膿を伴う場合はいまでもガーゼ貼り付けが行われますけどね。
 
 
ガーゼスタイルはまず痛いし、傷跡が残りやすい…らしいです。
 
 
ダメじゃん。
 
 
痛い思い出ことガーゼ療法は淘汰され、現代の傷口治療で主流になったのは、湿潤療法というやつです。
 
 
キズパワーパッドってご存知ですか?
 
 
アレですよアレ。
 
 
傷口から出る滲出液を利用することで、傷口の乾燥を防ぎ、かつ早くキレイに治るんだそうですよ。
 
 
もちろん、湿潤療法だとパッドを外す時はあまり痛くないです。
 
 
メリットしかねーじゃん!
 
 
ガーゼ交換で痛い思いをしていたアレは何だったんだ…(笑)。
 
 
もちろん、怪我のプロである競輪選手もこの湿潤療法をメインに治療しますよ。
 
 
まず、擦過傷に湿潤療法用のパッドを貼ります。
 
 



 




 
 

これはプラスモイストというちょっと上等なパッド。
 
 
擦り傷のプロである競輪選手は結構使っている人が多いです。
 
 
もちろん、先述したキズパワーパッドでもいいですし、最近ではドラッグストアにモイストヒーリング絆創膏(モイストヒーリングは湿潤療法の意)なんてものも売っています。
 
 
少し前までは湿潤療法はマイナーなやり方だったので、既製品があまり出回っておらず、ラップを巻いたり、専門医がオリジナルのパッドを作ったものを処方してもらったりしていましたよ。
 
 
それこそキズパワーパッドの台頭によってモイストヒーリングという概念が一気に有名になり、類似商品が増えたのです。
 
 
競輪選手にとってはとてもいい時代になりましたよ。
 
 
ちなみにキズパワーパッドは単体で貼り付けが可能な絆創膏、プラスモイストはテープ止めが必要なガーゼの代用だと思ってください。
 
 
傷口に合わせてプラスモイストをカットして、貼り付けます。
 
 
 


 
 
 
こんな感じ。
 
 
パッと見ただのパッドですが、傷口から出る滲出液を保持しつつコントロールしてくれるスグレモノなんですよ。
 
 
ちなみにこの貼り付けテープ、皆さんが想像しているのはこういう医療用テープだと思います。
 

 

 
 


でも、僕が使っているのはなんと!
 
 

 


 

 
ビニールテープです!
 
 
…オムツといい、ビニールテープといい、冗談は程々にせえよ…と思われているかもしれませんが大真面目です。
 
 
昔ながらの医療用テープは、剥がれにくい代わりにお肌が負けてしまう事が多く、酷い時はテープごと皮膚が持っていかれて激痛! という事態が割と起こりました。
 
 
これ、擦過傷より痛いまであって、かなり地獄なんですよ。
 
 
上の半裸の写真の胸の部分の肌荒れっぽい部分、病院で貼られたテープに皮膚が負けて、剥がす時に皮膚が持っていかれた部分です。
 
 
痛かった…。
 
 
そんなテープ負け対策に、なにかいいテープはないか…という事で、昔から一部界隈で裏技的に使われていたのがビニールテープ。
 
 
それが医療現場に輸入され、今ではなんと医療用ビニールテープというものが存在するのです!
 
 
ちなみに先程の写真はちゃんとした医療用ビニールテープです。
 
 
多分、滅菌空間で加工されている程度の事だと思いますが、まあ一応ね。
 
 
そんなビニールテープでプラスモイストを貼り付けて、無事に処置完了! と言いたいのですが、ここで先程の不審者登場。
 
 
 


 
 
 
はい、オムツマン登場です。
 
 
なぜオムツなんだ…というと、実はメリットだらけの湿潤療法にもデメリットがありまして…。
 
 
実は、湿潤療法を行っていると傷口から滲出液がダラダラと出続けるのです。
 
 
無論、ある程度はパッドが吸ってくれるのですが、限界を超えた滲出液は無慈悲にも垂れ流しになるのです。
 
 
この滲出液の循環が傷の治りにつながるのですが、物理的にはめっちゃ鬱陶しい…!
 
 
服が汚れるのは序の口。
 
 
車を運転していたらシートに付いちゃうし、寝ている時は布団にも染みてしまうし、しかも体液なのでめっちゃ臭いし…これ、ほんと最悪です。
 
 
遠征レースで転んで、帰りに公共交通機関に乗らないといけないというシチュエーションは本当に最悪。
 
 
できる事は、電車をおりるまで滲出液が漏れないよう祈り続けるのみです。
 
 
そんな問題を救ってくれるのがオムツです。
 
 
オムツの吸水パワー、本当にすごいんです。
 
 
寝る時に寝返りを打ちまくっても全然漏れない!
 
 
昔はガーゼやタオルを使っていましたが、寝る時には必ずと言っていいほど布団を汚していましたから。
 
 
オムツはそりゃおしっこを吸っても漏れないんだから、滲出液程度余裕ですわな。
 
 
お子さんがいる選手にオムツをオススメされて使ってみたのが始まりですが、これが最適解だわ。
 
 
見た目は非常に不審ですが、滲出液が漏れにくく周りにつきにくい!
 
 
しかも肌触りサラサラだし、使い勝手抜群!
 
 
今回は赤ちゃん用の紙おむつを使っていますが、もちろん大人用おむつでも、女性であれば生理ナプキンなんかでも代用できると思います。
 
 
まあ、肩の擦過傷だと赤ちゃん用が絶妙なサイズ感です。
 
 
肩だと大人用はちょっと大きすぎるんですよね。逆にナプキンだと小さいし。
 
 
その辺は負傷部位に合わせて上手く使い分けましょうね。
 
 
あとは、栄養満点のご飯をたくさんたべて、たくさん眠る!
 
 
これが傷の早期回復の秘訣です!
 
 
実際、今回の擦過傷は落車してから1週間もせずに治りましたよ。
 
 
よかったね!
 
 
 
 
 
って事で、落車時の擦過傷の処置を書きました(急な方向転換)。
 
 
この記事を見れば、いつ大きな擦過傷ができても安心ですね!
 
 
大の大人はなかなか擦過傷なんてできねーか…。
 
 
ほなまた次回〜。
 
 

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1995年3月30日生まれ。滋賀県出身。 日本競輪選手会 奈良支部所属107期の競輪選手。現在はA級2班。同期には新山響平、山岸佳太、簗田一輝など。 ……以上はすべて仮初めの姿であり、本業は某アイドルのプロデューサーであるともっぱらの噂。 ドール、カメラ、声優など、さまざまな「沼」に足を踏み入れている。

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