売店〜競輪選手のライフライン〜|DMM競輪

売店〜競輪選手のライフライン〜

競輪場の「売店」。

皆さん、存在くらいは聞いたことありますか?
ありますよね?(強引)

あまり表舞台に出る設備ではありませんが、外部との接触を遮断される競輪選手にとって、文字通りライフラインとなる施設なのです。

今回は売店のあれやこれやについて語っていきますよ〜!



競輪場の売店さん、「競輪選手は絶対に外で買い物ができない」という現実を盾に、えげつない殿様商売を展開しています。

いや、マジで反社会的と言ってもいいレベルの、殿様商売を繰り広げていますよ。

ひどい例を挙げてみると…

・2ℓペットボトルの水が300円で売られている(コンビニ価格90円)
・瓶ビールを800円で売る場があった(現在は飲酒禁止のため歴史の闇に葬られた)
・大袋で売っている使い捨てカミソリをバラしたやつがひとつ200円で売られている

などなど。

どこの闇組織運営タコ部屋だよ…というレベルのぼったくり価格です。ひどいですね。


しかしながら、何だかんだで競輪選手も黙って買ってしまいます。

先程書いた通り競輪選手が外部から物品を購入する術がない、というのが当然の理由。
もうひとつの理由として、ツケ払いで感覚が麻痺してしまうから、というものがあります。

競輪選手は、競輪開催中は参加番号と名前と商品名、購入価格を記入するだけで物品を購入できるのです。


支払いは最終日に賞金が出てからでOK。
精算が現金なのでアレですが、システム的には最強のキャッシュレスですよね。

ただ、ほとんど値段を見ず「水×3」という文字しか記入しないので、最終日に請求額を見て

「そんな買ってねーよ!」

と、半ギレで明細を見せてもらうとすべてに心当たりがある…というのは競輪選手あるあるです。

正直、クレジットカードより悪質なシステムかもしれません(自業自得)。



そんな闇施設こと選手売店は、だいたい宿舎と検車場にふたつ設置されていることが多いです。

食堂の売店と、選手会売店のふたつ。

食堂売店は文字通り食堂が運営するコンビニや駄菓子屋のような雰囲気。
お菓子やジュース、軽食や日用品が置いてありますよ。

選手会売店は、コンビニというよりは自転車屋さん。
主に自転車部品や用品を取り扱っています。検車場で困ったときや、部品購入のために駆け込みますよ。

今回は、非開催時に選手会売店が開店するタイミングがあったので、そちらにフォーカスを当てて紹介しますね。






これが奈良競輪場の検車場売店。

もちろん写真撮影したのは非開催時ですが、開催中もまったく同じスタイルで開店しています。


選手会売店の運営は「日本競輪選手会 奈良支部」。
選手会各支部が運営し、選手会が利益を得ることができるシステムです。

ただ、販売はもちろん、販路や仕入れの開拓なども選手会が請け負うため、実質的な小売店経営なんですよね。

僕は現在、競輪選手会 奈良支部の会計監査人という役職に就いているのですが、監査内容のほとんどは売店のお金の動きの部分の収支確認です。





奥に見えるのが検車場。

奈良競輪場では、検車場からローラー場に続く廊下の一角が売店スペースになっていますよ。


競輪場によって、売店の形や広さ、設置場所はさまざまです。

大抵は検車場区画に隣接する廊下にあることが多いですが、たまに2階の控え室エリアにあったり、階段の途中とかいう変なスペースにある場も無きにしも非ず、という感じで多種多様ですよ。

奈良競輪場は設置場所は普通、スペースは狭めですが、品数は超普通レベルといった具合です。





左側の壁には自転車部品。

華やかなロードバイク屋さんなんかと比較するとすっげえ地味ですが、まあプロ向け売店ですから。

佇まいとしてはホームセンターや金物屋さんの方が近いですかね(笑)。


選手も人間なので、開催競輪場に到着してから「忘れ物しちゃった!」と焦る場面は割と頻繁にあります。

でも、いざと言う時は選手会売店ですべての部品を揃えて、競輪に出走できるようになっているので安心!

まあ、さすがにフレームは売ってないので、フレームだけは忘れないようにしないとね!





右半分は飲食物、主にドリンクが多いですね。
ドリンクの品揃えは、だいたいどこの競輪場もこんなもんです。

レースのアップダウン時に飲む飲料はもちろんここで購入します。

また、暇な時間に先輩後輩、同県他県を問わず検車場で談笑する時は「コーヒー飲もうや」という社交辞令が発生するので、その度和気あいあいと売店に買いに来たりもします。


男子選手がガールズ選手にお近付きになりたくて

「一緒にコーヒー飲みませんか!」

と誘う甘酸っぱいシーンもあったりなかったり?

そんな純なやつ競輪選手にはおらん(ぶち壊し)。


カメラには映らない、開催参加中の競輪選手の日常パートにはこの「売店」が支えてる訳ですね〜。



さ、記事の締めにめーーっちゃ蛇足的な話ですが、この日なぜ何でもない日に売店が営業スタイルでオープンしているかという点。

実はこの日、売店にて仕事があったんすよ…。





棚卸しです。

売店の在庫を全て出して、数を数える。そして数を記入する、という簡単なお仕事なのですが、なんせ品数が多い!

重労働という程ではないのですが、決して軽作業ではない…。そんな感じのお仕事。

本来は経営責任者である支部長や支部役員が来てやるべき仕事らしいんですけどね。
今回は事務員さんが任されていて、人手はあればあるほど良いということで暇な僕が動員されたってワケ。

まぁ、作業自体は奈良支部の事務員さんと、売店担当の方、ぼくの3人がかりだったのでテキパキと進み、割とすぐに終わりましたよ。

僕も「売店って思ってる以上にたくさん商品取り扱ってるんだ〜」と勉強になりました。

(蛇足おわり)



正直、競輪場内の売店なんてお客さんが目にする部分じゃないので、あまり興味ないかもしれませんが(笑)。

今回は競輪場内の選手売店についていろいろと書いてみました。


JKA様からのお達しで開催時に撮影機器の持ち込みが禁止になって以降、開催中の場内の写真は貴重ですからね〜。

場内ネタが滅多に書けなくて残念なので、また非開催時に競輪場設備が動くタイミングで撮影許可が出たらここぞとばかりに撮影してきますよ(笑)。


では、また次回〜!




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1995年3月30日生まれ。滋賀県出身。 日本競輪選手会 奈良支部所属107期の競輪選手。現在はA級2班。同期には新山響平、山岸佳太、簗田一輝など。 ……以上はすべて仮初めの姿であり、本業は某アイドルのプロデューサーであるともっぱらの噂。 ドール、カメラ、声優など、さまざまな「沼」に足を踏み入れている。

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