競輪選手のヘルメット|DMM競輪

競輪選手のヘルメット

自転車乗車の際は、ヘルメットを被りましょう!

努力義務ですが、皆さんの安全に直結するお話です。
皆さん! 自転車に乗る際はヘルメットを被りましょう!


……さて皆さん、競輪選手が自主的に安全啓発を行った訳ですが、これってなかなか素敵なことだと思いませんか?(素敵の押し売り)

プロスポーツ選手の鑑として警察に表彰される日もそう遠くないですね。いや、表彰しろ!(私利私欲)



ってことで、今回の話題はヘルメットです。

競輪選手がレースを走る時の必需品、ヘルメット。

あれって、実際そんなに安全なんか?

ロードレースでは軽量ヘルメットが主流だけど、なんで競輪はいまだにゴツゴツしとるんや?

等々、ファンの皆さんや自転車が好きな方々が疑問に思うかもしれない、いろんなお話を書いていこうと思います。



ではとりあえず参考写真を。





田村くん、自転車乗る時はちゃんとヘルメット被ってますね!
えらいですね〜!


さて、このブログにたどり着いているような猛者の皆さんはご存知だと思うのですが、写真の状態はヘルメットの上に「ヘルメットキャップ」という布を被せた状態です。

もちろん、誘導員だけではなく競輪を走っている時のカラフルなヘルメット、あれも車番ごとの布を被せているだけなのですよ。


布がない状態はこちら。





真っ白ツルツル。

お客さんの前に出る時は、基本的にヘルメットキャップを取り付けた状態なので、取り外した状態をしっかり見る機会ってほとんどないですよね。


真っ白ツルツルで彩りがないのは、毎開催ヘルメットに傷がついていないか、割れていないかの検査を行うためです。

自転車検査だけではなく、この辺の安全装備も毎回検査があるんですよ。


なんで3つ置いてあるかと言うと、競輪で使用できる認定ヘルメットは3銘柄あるのです。

まずはこれらの紹介からいきますね。






こちら、バイクヘルメットで有名な「アライ」のヘルメットです。

バイク乗りの方は当然ご存知でしょう。
その界隈では「世界一安全」と言われている、アライヘルメットさん。

実は、競輪のヘルメットも作っておられます。

競輪用ヘルメットの中で、この形が最もオーソドックスなスタイルです。
多分、現行3種の中で歴史が最も古いヘルメットじゃないかな?

頭が深くすっぽりと収まる形です。

少し重量が重く、見た目もずんぐりむっくりなのですが、安全性はピカイチ!

競りの時に一番引っ掛かりが良いとのことで、渋いベテランマーク屋が好んで使用しているイメージが強いです。






こちらは先程と同じく「アライ」のエアロタイプヘルメット。

ちょっとだけ全高? が低くなっていますね。
見た目も少し流線型になりましたが、空力の良さを体感できる機会はほとんどありません(笑)。

僕はこのタイプを自転車を始めた当初から長年愛用していますよ。

アライの安全神話を崇拝している事と、何より僕の頭の形に馴染みやすい!

実際、何度も落車で頭を打ちましたが、アライヘルメットに守られて元気に生きています。

アライさんありがとう!






最後、こちらは「DIC」という、工事用ヘルメットを主に作っておられるメーカーの競輪用ヘルメット。

認定ヘルメットの中で最も軽量で、被っているフィーリングがとても楽です。

僕の主観ですが、現在の競輪界でユーザー数が多いのはDICだと思います。
少なくとも、奈良支部ではDICユーザーが大半を占めていますよ。

中でも若手はDICを被っているイメージがありますね。

僕は、頭の形がどうも合わない…。
軽くて楽なのですが、なんか脱げちゃいそうな不安感が出るので、使ったことがありません。
もちろんあくまで個人的感想ですよ。



競輪で使用できるヘルメットは、今紹介した2メーカー3銘柄。

さて、皆さんは選手になるとしたらどれを選びますか?(笑)

実際のところは選手がヘルメットを選ぶ基準もただの好み、雰囲気です。

正直、体感できる性能差がある訳でもないですからね。
被ってみて「これがしっくり来るな…」と思ったものを選びますよ。

適当…と言うとそうなんですけど、実際んところ身に付けるものを選ぶ時ってそんなもんです。



では、皆さんが自転車に乗るとしたら、どれを購入しますか?(笑)

購入しねーよなぁ…(笑)。

そもそも競輪ヘルメット、ダサいし重いしでかいし、絶対に選択肢に入りませんよね(笑)。

まず自転車屋さんの店頭に置いてある訳がない!


実際、世の中の主流は軽量エアロヘルメットです。





こういうやつ。

僕も、街道練習ではこの軽量エアロヘルメットを使用していますよ。


これはロードレース用の厳ついヘルメットですが、皆さんが自転車屋さんやホームセンターに行ってヘルメットを買うとしたら、このタイプのもう少しふんわりした形のヤツが並んでいると思います。

軽くて、通気性も確保されていて、イマドキの自転車ヘルメットってとても快適です。


業界用語…という程ではないのですが、競輪選手は競輪用ヘルメットをドカヘル、ロード用エアロヘルメットを軽ヘル(けいへる)と呼びます。

以下、この呼称を使わせてもらいますね。


ぶっちゃけ、ドカヘルって通気性は最悪。
ダサいし重いし、街道練習なんかで長時間被っていると首がしんどくなります。

ツールドフランス等、トッププロが走るロードレースでも軽ヘルが使われている訳で、別に安全性に問題がある訳でもない。

じゃあなぜ競輪はあんなドカヘルをいまだに使ってるんだろう…。


答えはめっちゃ単純なのですが、競輪はロードに比べて高速域での落車がとても多いからです。

YouTube等でロードレースの落車と競輪の落車を比較してもらうと分かりやすいのですが、競輪の落車は人間が弾け飛びます。

現代競輪は最高速度が70km/hクラスになっていますからね。

400バンクの上がりタイムが12秒の場合、平均時速が60キロになるので、下位でも少なくとも乗用車くらいの速度は出ているわけです。
落車が発生するのはスピードが上がってからだし、カントがあるので結構な頻度で頭を打ちます。

また、競輪場はアスファルトの上にウォークトップという、自転車での走りやすさのための塗装が施されています。

これがほとんど紙ヤスリ。


ロードレースはどちらかと言うと「ボテボテ」っという感じにコケますよね。

落車が発生するのは集団巡行時が多いので、だいたい40km/hくらいでしょうか。
だいたい、誰かがコケて周りが乗り上げる…という落車発生パターンが多いですね。

もちろん勝負どころでの落車もないわけではありませんが、機材が軽量なせいでしょうか?
勢いよく頭から地面に叩きつけられる場面は、競輪に比べると比較的少なく感じます。

単純に、落車が発生しがちな速度域が20km/hくらい違うんですよ。


ヘルメットって、大きな衝撃を受けると割れるんです。
ヘルメットが割れる事で、頭蓋骨の代わりに衝撃を緩和してくれるんですね。

当然、その割れる余地が大きく、深ければ、比較的大きなダメージを吸収できるわけです。

落車時の想定速度域が速くなれば速くなるほど、頑丈で重いヘルメットが必要になる…ということです。

すげえ単純な話ですけどね(笑)。





これは奈良競輪で落車して頭を強打した選手が被っていたヘルメット(競輪場廃棄品、念のため名前は隠してあります)。

側面がガッツリ割れています。

また、先述した走路アスファルト(紙ヤスリ)で擦れて大きく削れていますね。

ヘルメットがなければ頭蓋骨や頭皮がこうなっている、と思うと…ゾッとしますよね。



余談ですが、競輪よりも想定速度域が速いバイクのヘルメットは、さらに大きく重くなります。






これは僕が持っていたバイク用ヘルメット。

アライの安全神話とか語っといて、バイクヘルメットはSHOEI派です。

さすがにこのサイズのヘルメットを被って自転車を漕ぐのはしんどいですよね(笑)。

安全とサイズ、重量は基本的には比例するのですが、競技用という事でギリギリまで軽量化しつつ、安全を確保できる絶妙なバランスを保っているのが、競輪ヘルメットなのです。



先程も書きましたが、競輪サイズのドカヘルだと長時間自転車を漕ぐのは結構しんどい!(笑)

また、プロロードレースで死亡事故が起こる時って、崖からの落下や静止物にぶつかる事故で起こることが多いです。
正直、その規模の事故だと、ドカヘルを被っていたところで…感は否めないですよね。

ってことで、ロードレースでは、快適性とリスクの取捨選択をした結果、軽ヘルが使われている訳ですね。

何事にも理由がある。そういうこった(雑な話題の締め)。



さぁ最後に、皆さんに競輪ヘルメットのアゴ紐の結び方をレクチャーして記事を締めますよ〜!

ヒモなんてくくるだけじゃねーの? と思った皆さん、競輪は落車した際の救護のことを考えて、少し変わった結び方をするのです。

まぁ見てくれ。





突然の筆者登場!

この紐を





こうクニクニっとして





こうじゃ。

これが「競輪結び」です。


なぜこんな変わった結び方をするかと言うと…





ここを引っ張ると





スポッ!





あとは顎紐を抜くだけ!

片手でもOK〜!


そう、落車した際、自分以外の人でもヘルメットをワンタッチで外しやすいようこのような特殊な結び方をしているのです!

パッと見、心もとない結び方に見えますが、滅多なことがなければ緩むことはありません。


落車前提の、他人に外してもらいやすい特殊な結び方。

知っていると、「通だね!」と言われる機会があるかも? ないか。


レース用ヘルメットは、ヘルメットキャップを被ること、また、傷隠しができてしまう都合上、塗装やシールを貼るデコレーションは禁止です。






しかしながら、練習用ヘルメットは各々塗装したりデコレーションしていますよ!

このヘルメット、誰のヘルメットかわかるかな?(笑)



ってことで、競輪用ヘルメットのあれこれを書いてみました。

いつも僕たちの命を守ってくれてありがとう!


競輪選手が身につけているものって、言うなればすべてがプロフェッショナル仕様の特殊な装備品ですからね。
ひとつひとつ掘り下げてみると意外に面白い!


また何かしらネタが思いつけば、装備を掘り下げて記事にしますね〜!

では、また次回!





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1995年3月30日生まれ。滋賀県出身。 日本競輪選手会 奈良支部所属107期の競輪選手。現在はA級2班。同期には新山響平、山岸佳太、簗田一輝など。 ……以上はすべて仮初めの姿であり、本業は某アイドルのプロデューサーであるともっぱらの噂。 ドール、カメラ、声優など、さまざまな「沼」に足を踏み入れている。

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