競輪選手とニベアクリーム
ニベアクリーム。
お肌に潤いを与え、柔らかな香りで心を満たす。
お風呂上がりに身体に塗れば、翌朝までお肌しっとり。
ニベアクリーム。
肌がふれあう。
ただそれだけで、人は人をあたためることができる。
まもることができる。
一生の素肌に。
ニベアクリーム…!
なんだよこのゴリ押しはよォ!
と皆さん思ったことでしょう。
そもそもタイトル。
「競輪と関係あんのかよ!」と初歩的なツッコミを入れた方も少なからずおられることでしょう。
チッチッチッ、甘いなぁ。
ニベアクリームの甘い香りよりよっぽど甘いぜ!
実は、最近競輪界では、ニベアクリームに関する重大な内部告知がなされたのです。
商品名名指しですよ?
気になるその内容は…
レース出走時にニベアクリームを塗ることを禁ずる
です。
名指しです!
ほんとですよ!
先日、選手会の告知事項として、訓練日等を通じて選手に通達されました。
世界中の人類のお肌の潤いを守り続けてきたニベアクリームさんにどんな罪が…?
実は、落車時の擦過傷防止のために、脚にニベアクリームを塗布する選手が少なからずいたのです。
競輪を見てくださっている読者の皆様なら、競輪選手の脚がテカテカになっていることはご存知でしょうかね。
テカテカ感が伝わる写真が見つからなかったので、スポンサーユニフォームを支給していただく前に静岡競輪場にて撮っていただいた写真を引っ張ってきました。懐かしいですねぇ!
こんな感じで、皆少なからず脚がテカテカしています。
これ、ベビーオイルを脚に塗ってるんですね。
理由はもちろん保湿! ではなく、落車した際の擦過傷対策です。
気休め程度ですが、塗ると塗らないでは多少なりとも傷の範囲が変わってきます。
摩擦が減るんですかねぇ?
理屈はわかりませんが、実際、塗って落車してみるとわかります。
ニベアクリームは、その擦過傷対策、ベビーオイルの上位互換と言えばいいのでしょうか…?
ごくたまーに、テカテカではなく脚が真っ白になっている選手っていませんでしたか?
あれは実はニベアクリームなのです。
さて、ほんでなぜニベアを塗って走ったらダメなんだ? という点ですが…。
実はいざ落車した際に、ニベアクリームのおかげで脚と地面の摩擦がマシになる代わりに、競輪場の走路にベッタリとニベアクリームが付着してしまうんですよ。
落車があったレースの後に、走路員の人が地面の確認や簡単な補修をしているシーンは皆様も見たことがあるかと思います。
あのシーンで、めっっっっちゃ拭き取りにくいらしいんですよ。ニベアクリーム。
しかもニベアクリームってワセリンが入っているそうで、走路にワセリンの成分が付着してしまうと、タイヤのスリップの原因になっちゃうんですね。
必死に拭き取っても、走路に成分が残っちゃうそうです。
そんなこんなで、走路員の方々からのクレームが相次いだり、実際危険に繋がるため全面禁止の号令に繋がったとのことです。
以前から、中部地区等の一部の競輪場では「ニベアクリームにはワセリンが含まれています」と注意書きがありました(元々ワセリンは塗布禁止)。
それが、今回厳重に禁止となった訳ですね。
人類のお肌を守り続けてきただけのニベアクリーム。
果たして彼に罪はあったのでしょうか?
罪深いのは、競輪選手の方ではないか?
そんな自問自答を繰り返しながら、ニベアクリームの柔らかい香りに思いを馳せるのであった。
〜fin〜
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1995年3月30日生まれ。滋賀県出身。 日本競輪選手会 奈良支部所属107期の競輪選手。現在はA級2班。同期には新山響平、山岸佳太、簗田一輝など。 ……以上はすべて仮初めの姿であり、本業は某アイドルのプロデューサーであるともっぱらの噂。 ドール、カメラ、声優など、さまざまな「沼」に足を踏み入れている。