存在感を見せつける 森田優弥|DMM競輪

存在感を見せつける 森田優弥

illustrated by Ayu




競輪のレースにおいて「存在感」というのは実に重要だと思う。

自分の存在感を示すレースができれば味方からは信頼され、対戦相手の脅威になり、ファンの心に残る。



以前から森田優弥選手の存在感のある走りに注目していた。

強気でガッツある彼の走りが好きで、今日は何をやってくれるのだろうというワクワク感がある。

頑張り過ぎて、脚を使いすぎて大敗したり、落車や失格という残念な結果になることもあるが、気持ちを全面に押し出して走るスタイルはとても魅力的だと思う。


3ヶ月ぶりに走った復帰戦(富山記念)を現場で見たが、以前と変わらない強気の走りを見て安心した。

長い間走れなかった悔しい想いと、再び走れる喜びをひしひしと感じさせるようなレースだった。

その後の地元のオールスターでは周りを笑顔に包んだ敢闘宣言から一転、いつも通り前々に攻める走りでGⅠでも存在感を見せていた。

何よりも同期の真杉選手の初タイトルを近くで見て刺激になったに違いない。

あの小さい身体の中には想像もできないくらいの、負けん気とやる気が潜んでいるのではないか。

パッと見はとても優し気でかわいらしいという印象だけに、エトミキのギャップ萌え理論にも当てはまる。



「スイッチが入っちゃいました」と、選手がよく口にする言葉。

彼のレースを見ていると、いつもスイッチはオンのままだ。

もしかしたら、レース前は冷静に落ち着いて戦おうと思っていても、いつの間にかスイッチが入ってしまう…。

そのスイッチは一度オンになると誰にも、ましてや本人がいちばん止めることができないのではないか…。


冷静かつアグレッシブに戦う。

もちろんこれがいちばんの理想だろう。

だけどレースは常に相手がいる。

自分の思うようにはならないし、させてもらえない。

それでももがいて戦う姿。諦めない姿。

それがレースにおける存在感なのだ。



これからも彼には何をやってくるか読めない期待感たっぷりのレースで、もっともっと強くなることを期待している。

そして森田選手のレースは、こちらも負けずに気合いとスイッチをオンにして予想していきたいと思う(笑)。

スピードチャンネル初代キャスターとして競輪デビュー。以来、競輪の魅力にどっぷりハマりウン十年…。全国各地の競輪場でキャスターとして活躍を続けている。 滑舌の良さとベテラン解説者にも全く物怖じしない鋭いツッコミが武器。「トリガミパトローラー」「メロンチャンス」など、独自のキャラクターで番組を盛り上げる。

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