若きカリスマ 眞杉匠|DMM競輪

若きカリスマ 眞杉匠

illustrated by Ayu




宇都宮といえば、わたしがずっとお世話になっている競輪場のひとつだ。

バックとホームが入れ変わる少し前からだから、かれこれ15年以上になるだろうか。


その宇都宮の記念開催で、とても感動的な決勝戦を見られた。

眞杉匠選手の優勝だ。

地元選手の記念優勝は神山雄一郎選手以来、実に14年ぶりであった。


表彰式までたくさんのファンが残ってくれ、みんなの祝福を受けて誇らしげな笑顔を見せていた眞杉選手。

解説の山口健治さんと共に涙を浮かべたわたしだった(何度も言うが、歳を取ると涙脆くなるよね・笑)。


宇都宮の中継では選手ゲストコーナーがあり、選手たちと直接話す機会が多い。

そこで若手の選手からこうなりたい! すごい! というので必ず挙がるのが、眞杉選手と長島大介選手だ。

どちらも練習グループのまとめ役となり、それを引っ張っていく存在だという。


そこで、眞杉くんの凄さを秋本耀太郎くんに聞いてみると「カリスマ性」だと言っていた。

人をやる気にさせるのがとてもうまいらしいのだ。

それを証明するかのように秋本くんをはじめ、橋本瑠偉くん、中村隆生くん、小池千啓くんなど、一緒に練習をしている選手たちも先行でメキメキと力をつけている。


眞杉くんに誘われ、そこに来た仲間とはとことん練習も遊びも付き合い、的確なアドバイスもくれるらしい。

上手に人を巻き込んで物事を進めていく。


こんな先生がいたらわたしももっと学校生活が楽しかっただろう。

リーダーシップを発揮しつつ、人々を上手にまとめ、その人達の力を発揮させる。もちろん自らも結果を出してその手本となる…。

まだ24歳と若いのに、恐ろしいほどの能力の持ち主なのだ。


宇都宮記念の準決勝では地元勢が6人いたのに、決勝に勝ち上がったのは彼ひとりだった。

最後の準決勝を戦う彼のプレッシャーは想像を絶するものだったと思う。

その重圧に打ち勝ち、決勝前夜は仲良しで同期の瑠偉くんに「番手戦も大好きだから決勝が楽しみだ。優勝する気しかしない」と言っていたらしい。


そして地元記念の初優勝。

自己肯定感が強く、自分に絶対的な自信を持っている。

心の状態というのは自ずと言動にも現れるので、有言実行の優勝ができたのだろう。


練習は、午前中に街道でみっちり乗り込み、午後はバンクに入ってさらに練習。

みんな眞杉くんに引きずり回されていると言うほど強いらしい。


室内練習で結果を残している選手が多い中で、周囲に流されることなく、自分の意思に基づいて行動している。

はっきりした目標を持ち、なりたい自分を明確に持っているのだと思う。

加えて、その練習量の多さと質の高さも彼の自信につながっているのであろう。


これも彼の持つカリスマ性だ。

かといって、カリスマという言葉で思い浮かぶような近づきにくさは全くなく、いつもニコニコとしていて話しやすいところも素敵だ。


長らく栃木ではベテランの追い込み勢が活躍していたが、ここ数年は若手自力選手が切磋琢磨しながら台頭してきた。

それにより栃木全体が活気づいている。

先日900勝という大記録を達成した神山雄一郎選手と肩を並べるようなスーパースターになってほしいなー♡

スピードチャンネル初代キャスターとして競輪デビュー。以来、競輪の魅力にどっぷりハマりウン十年…。全国各地の競輪場でキャスターとして活躍を続けている。 滑舌の良さとベテラン解説者にも全く物怖じしない鋭いツッコミが武器。「トリガミパトローラー」「メロンチャンス」など、独自のキャラクターで番組を盛り上げる。

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