進化し続ける 山口拳矢|DMM競輪

進化し続ける 山口拳矢

illustrated by Ayu




目標は達成して終わり。

ではなく、そこからがまた新たな始まりなのだ。


目標に向かって邁進し続ける姿。
達成した時の喜び。

達成した後にさらに上昇していく選手もいればその重圧に苦しむ選手もいる。


なにもこの世界に限ったことではないが、勝負の世界で生きる選手達を近くで見ていてことさらに強くそれを感じるようになった。


山口拳矢選手。
彼もまたそのひとりだろう。


タイトルホルダーの父と叔父から受け継いだと思われる競走センスで、デビューして早2年で獲ったGⅡタイトル。

山口幸二さんの涙のインタビューとともにとてもセンセーショナルであった(父上は否定するだろうが・笑)。
そして同時に若い力の誕生と世代交代をも予感した。

このままスター街道まっしぐらかと思われたが、そうは簡単にいかないのが世の常でもある。

チャレンジャーの立場から警戒されるようになり、自分のレースをさせてもらえなくなる。

それでも期待に応え、結果を出したいと思う。
結果を求め過ぎるあまりにさらに戦法の幅が狭まる…。


負のスパイルのような時期に、彼のように目立つ存在にはつきもののバッシングもあった。

タイトルを獲った後の洗礼にこの子はこれからどうしていくんだろう…。
心配と同時に興味深かったのも事実だ。


ほどなく彼のレースに変化が見られた。

長い距離を踏んでみたり、とことん位置にこだわってみたり、彼なりにいろいろなことをやってみようともがいている姿が伺えた。


変わらないで埋もれていくことよりも苦労を覚悟して変わっていく…つまり進化することを選んだのだと思った。

すぐに思い通りの結果になったわけではなかったが、自分を信じ続け、その失敗や経験を糧に踏ん張り続けることで進化した自分と出会えたのではないだろうか。



そして手にした伊東GⅢの優勝。

お父さんと一緒にやった1.2.3ダー! は、彼にとっても忘れられない思い出になったに違いない(笑)。


聞けば、彼は自分のことをエゴサして平然としているという。

自分に対する批判という、普通だったら向き合いたくもないようなことをありのままに真摯に受け止め、それを吸収する柔軟さも持ち合わせている。


拳矢選手の魅力は多少引っ張られても切れることのないしなやかな心の強さと、自分の可能性を信じる気持ちにあると思う。

おそらくこの人はこれからもチャンスや失敗と素直に向き合って、次の段階に進んでいくのだろう。



進化を止めない。

凝り固まることなく、いつまででも柔軟に物事をとらえ、挑戦し続けよう。

と、50代キャスターも決意をしたのでした!
まだまだ伸びしろありますよね?(笑)

スピードチャンネル初代キャスターとして競輪デビュー。以来、競輪の魅力にどっぷりハマりウン十年…。全国各地の競輪場でキャスターとして活躍を続けている。 滑舌の良さとベテラン解説者にも全く物怖じしない鋭いツッコミが武器。「トリガミパトローラー」「メロンチャンス」など、独自のキャラクターで番組を盛り上げる。

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