愛されキャラのニューフェイス 吉田有希
illustrated by Ayu
「愛される」という受け身の動詞と「キャラクター」という名詞が組み合わされた「愛されキャラ」という言葉はもはやすっかり定着しているが、競輪界で愛されキャラのニューフェイスといえばこの人だろう。
インタビューやSNSなどを見ても、とにかくその明るい性格で、みんなに可愛がられている吉田有希選手だ。
そんな吉田選手と12月に京都向日町の配信で初めてちゃんとお話しすることができた。
その時の吉田選手は、川口聖二選手に中団でフタをされても断固として引かず、川口選手を捌いて捲るという今まで見たことのない戦法で勝利したのだ。
レース後「あそこは引けないと思って、初めて見せました! これからはこういうレースもやっていきたいです。」
と堂々と語っていた。
オマケに先輩の川口選手をいじって笑いを取るという、およそ新人らしからぬ姿を見て、持ち味であるナイスキャラもしっかりアピールしていた。
位置を取るというニュー吉田有希を見て「これはますます強くなるな」と確信した。
そのレースが布石になったのがヤングGPだった。
前を取らされながら町田選手の先行の3番手。
捌きもできる山口拳矢選手もそこは欲しい位置だっただろうが、引かないニュー吉田と並走となっては勝機はない。
結果、山口選手は展開待ちのレースになってしまい、捲った吉田選手は菊地選手に差されたが見事にワンツーを決め、ビッグレースで大いに存在感を示した。
ヤングGP前のニュー吉田のレースがいかに大切だったかを思い知らされた。
終わってからハッとしたが時すでに遅し、車券は見事にハズしたわたしだった(泣)。
聞くと、デビューしてから暫くは封印していた自分のキャラをS級に上がってから全面に押し出すようになったらしい(たぶん隠しきれずにダダ漏れしたのだろう・笑)。
そこで、これからどんどん強くなるであろう吉田選手に「強くなってもそのままのキャラでいてね!」と勝手なお願いをすると、「ずっとこのままでいます! これがいちばん楽なので!」と、100点満点の嬉しい答えを返してくれた。
ただ、ニュー吉田を見せた次の日、ゲストに来たあの村上義弘さんから「俺はニューじゃなく、旧吉田のほうが好きやな」というありがたーいお言葉をいただいて、ド緊張しながら「はい! これからは全部先行でいきます!」と答えたのは付け加えておこう(笑)。
「おい! 昨日言ってたことと違うじゃん! 早くもブレとるやないかい!」と思わずツッコミたくなるのを笑いとともに必死に堪えていたが、彼ならそんな愛のあるツッコミも寛容に受け入れてくれたと思う。
愛されキャラというのは人としての魅力に溢れ、年齢、性別問わず誰にでも好かれるものた。
愛嬌もあり、誰とでも分け隔てなく接することができ、いつも笑顔でポジティブなその姿を見て、相手も自然と笑顔になれる。
そして適度な抜け感があり、完璧でないというユルさがある。
特別外見がいいとかそういうことではないのに、不思議と同性にも異性にも常にモテる人とはこういう人だ。
吉田選手にはこれからも競輪界を代表する愛されキャラでいてほしい。
強くなっても、いくつになっても…。そこはブレずにお願いします♡
スピードチャンネル初代キャスターとして競輪デビュー。以来、競輪の魅力にどっぷりハマりウン十年…。全国各地の競輪場でキャスターとして活躍を続けている。 滑舌の良さとベテラン解説者にも全く物怖じしない鋭いツッコミが武器。「トリガミパトローラー」「メロンチャンス」など、独自のキャラクターで番組を盛り上げる。