決めずの刃|DMM競輪

決めずの刃

こんにちは。「くみにい」ことスロースターターの組橋です。

みなさんは予想紙やスポーツ新聞なんかで、コメント欄はご覧になりますか?

僕のお気に入りの予想紙は九州のコンドルです。



私たち選手は「こんな感じで走ります」を伝えるために、次の日のレース番組が確定してから記者さんの締め切りまでの間にコメントを出します。

僕が若い頃は、記念開催や特別競輪ぐらいしか記者さんはいませんでした。

なので、選手ですら当日の顔見せまで後ろが競りなのか、相手のラインの先頭が誰かわからない状況。

しかし、いつの頃からか管理から放送で「コメントまだの選手はコメントお願いします」としつこく放送が流れるようになりました。


コメントには

・先行
・自力自在
・番手(ハコ)
・中四国3番手
・◯◯ラインから
・単騎
・決めず

等々があります。


先輩後輩はもちろん、地区・点数・戦法、さらには番組屋さんの意図を汲みながら並びを考えます。

「②番のハコ」や「四国ライン」などのコメントはほぼ意図と内容に違いはないし、わかりやすいと思います。

しかし、そこには駆け引きやこだわりが絡んでいたりします。


・点数が上でも先輩選手や自力選手の意向や気持ちを聞いてからコメントしてくれる場合

カタチだけでも立ててもらえると素直に3番手や後ろを固めたり、切り替え難くなります。


・「明日一緒なんですがどうしますか? 僕は前で頑張りたいです!」とハッキリ意思表示をしてくれる場合

レースはやはり展開や流れがあるからどうなるかわかりませんが、どうなってもこういう選手には文句を言わずつきます。
度重なる「口だけさん」には、バックを踏みたくなるんだけど…。


・「ハコ勝負に行っていいですか?」と口説かれる場合

正直、大バックを踏みたくなります。なぜって、怪我のリスクがあるから。
前で競る選手は転んでもそこまで大ケガをしませんが、後ろから乗り上げて落車すると結構ダメージが大きいです。
怪我の治りの遅いおじさんにはきついです…。


・マーク屋さんに「好きに走っていいから頑張って!」と後ろにつかれる場合

ついつい頑張りすぎることがあります。


・若手の別線相手にオッサンだけのラインや単騎の場合

ぶっちゃけメンバー見て、この歳でできることないよーっ! て思うことも…。


コメントを出し続けて29年。

僕のなかでは「競輪道」というのを大事にコメントから競走に向き合ってます。

ミッドなら若手の点数上位が内枠だし、普通開催でも新人はS取りめっちゃ早いから取れないし...。
でも、コメントは出さないといけない。

僕はレースでの駆け引きは上手くないので「前を任す!!」と言われると年甲斐もなく頑張ってしまいます。

点数を犠牲にプライドや「道」をかけて走ってます!
なので、良くも悪くもお客様にはいろいろと迷惑をかけてしまうことも。


ちなみに、2020年10月開催 西武園の最終日でのコメント。

「決めずの刃」でお願いします!

結果、採用されず……残念!!
記者さんは「それいいですね! 使わせていただきます」って言ってたのにな…。

【今回の締めの格言】
「意地とチェーンは張るな」


競輪学校時代、偉大な先輩である松本勝明さんが教えてくれました。

「カズタカ、意地とチェーンは張るな。チェーンは自転車を傾けて外れないくらい、ダルダルに緩めろ」と。

現役競輪選手。香川支部香川道場所属71期。現在はA級3班。自転車を、そして競輪を心から愛するナイスガイ。その競輪愛はもはや「ファン」と呼んでも差し支えないほど深く、同業者である他の選手からサインをもらうほど。愛称は「くみにい」。

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